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緊急特集:新型コロナウイルス感染症を考える-医療・福祉の専門家の視点から-Vol.12「未来をつくる」意思をもってお金と時間をつかう

新型コロナウイルスの影響で様々な制限、自粛が続く毎日ですが、いつ元の生活にもどるのかという声を様々なところで聞きます。

しかし、自粛や制限が解除された後も、元の生活に戻ることはないだろうと私は思っています。働き方、学び方、時間の使い方など、様々な生活のスタイルが大きく変わることでしょう。現に、従来からあったオンライン会議や宅配サービスが加速したり、今までなかったサービスも生まれたり、既に生活の中に変化が出てきています。

そんなことを考えていると、元の生活に戻るまで我慢するのではなく、これからをどう生きるか、今何をするのかが、あらためて重要であると思えてきます。

我が家には、男の子が3人いて、うち2人は小学生です。子どもたちとは、休校が始まりしばらくした3月の中旬頃から、時間の使い方について一緒に考え始めました。

時間の使い方を考える上で、子どもたちには、学校があるから勉強するのではなくて、自分が好きなことがあればそれに向かって勉強しよう、勉強でなくて興味のある遊びがあればそれを一生懸命しても良いと話しました。

長男(現小6)とは、「今自分がしたいこと(遊び・ゲーム含む)」、「自分の好きな事(読書や庭での運動)」、「未来のためにしておくこと(勉強)」を考えて、それらの中からやることを1週間の予定として本人が立てることにしました。私はそれに対して、この日は登校日もあるからこの予定では難しいのではとアドバイスしながら、時間の使い方を考える手伝いをしています(なかなか予定通りに行かない日もあるようですが、特に学びの部分については、予定通りに進んでいるようで、最近では学校の勉強でなく自分の好きな事への学び(世界遺産についてやクイズのような雑学)が増えているようです)。

次男(現小2)とは、明日やることと1日の振り返りを夜にすることにしています。体を動かしたり、お手伝いをしたり、勉強も少ししたりしています。

私としては、勉強をしてほしいというよりは、時間を浪費してほしくない、休校・自粛の間は人生のお休み期間ではなく、今という時間は、取り返せないのだからきちんと好きなことしたり、未来にやりたいことの為に準備したり、いつであっても世の中の状況に左右されるのでなく自分自身の時間を大切にしてほしいという思いから、本人の自主性に任せながら時間の使い方を決めるサポートをしています。


私が運営にかかわっている公益財団法人みんなでつくる財団おかやま(以下、みんつく)は、元々こうした一人一人が自分の意思で時間などの資源を使うことで、よりよい社会、自分の望む未来をつくっていこうという思いで設立したものです。

資源を使う大きな手段としてみんつくが取り組んでいるのが寄付です。自分の思いを寄付に託し、自分や自分の周りの人に必要な取り組みを増やしていく。寄付を原資にNPO活動への助成事業を実施しています(みんつくについては、以前に記事にさせていただきました。こちら)。

今、新型コロナ対応として国民1人1人に給付される10万円をめぐって、新型コロナウイルスで収入に影響がない人は寄付をという議論や運動が起きています。

寄付を扱う団体として、ありがたいなと思う一方で、寄付に対して強制力が働かないかと少し心配もしています。

寄付に限らず、お金を使うということは、分かりやすい本人の意思表示であると考えています。収入には影響がなくても、新型コロナウイルスで生活に影響を受けていない人はおそらくいないのではないでしょうか。

生活が大変になったからそのために給付金を使う、給付金で家電を買い替える、コロナが落ち着いてから旅行にいく。好きな飲食店が大変だったからいつもより御馳走を食べにいく。
色々な使い方があっていいと思います。大切なのは自分の意思を持って使うことであって、人の使い方を気にすることではありません。(もちろんさまざまな使い方の提案はあっていいと思いますが。)

みんつくでは、この機会にお金のつかい方を考えてもらうために「お金のつかい方シート」と「寄付アクションシート」を公開しました。お金のつかい方シートは、普段小学生向けに開催している、寄付を含めたお金の使い方について考えるイベント「お金と寄付の教室」での内容をシートにしたものです。「つかう(消費)・ためる・投資する・寄付する」お金の使い方を自分の意思を持って、考えるきっかけにしていただきたいと思っています。

また、寄付アクションシートは、お金について考えるきっかけを持ってもらった上で、日常に寄付を取り入れてもらう仕組みとして、自分の好きな事やうれしいことを寄付アクションとするためのシートです。
寄付したいけれどどんな寄付先があるんだろうかと考えている方に向けては、みんつくで取り組んでいる寄付先の紹介サイト(寄付アクションサイト)もつくりました。(https://www.kifu-action.jp/) 
みんつくで取り組んでいる助成事業(テーマを選べる)や岡山県内のNPOなどの紹介サイトです。

寄付アクションサイトで寄付先をさがすのもよし、飲食店紹介のページで飲食店をさがすのもよし、ぜひこの機会に自分の資源としてお金の使い方を考えていただけたら幸いです。

今という時間を大切に、一人一人が自分や自分の社会をつくるために、時間やお金を使うきっかけ提供をしていけたらと思っています。


※本原稿の内容についての責任は著者にあり、編集局の意向を示すものではありません。

Civil Engineer (仕組みつくりの技術者)石田篤史
1977年、倉敷市出身。立命館大学卒業。2000年岡山県庁入庁。特に公共工事のIT化に関わり、入札情報の公開や、成果物データベースの構築による情報の有効活用(CALS/EC)をすすめるなど建設マネジメントを中心に取り組む。2012年3月に県庁を退職し、9月に市民530名の寄付によりみんなでつくる財団おかやまを設立。(平成26年8月1日に公益認定)現在は、みんつくと(株)イシダ工務店、2つの組織を経営しながら様々なプロジェクトの立ち上げ、企画の支援を行う。岡山県観光特使、FMくらしき「縁join!SPOxT」パーソナリティー 等。
1977年、倉敷市出身。立命館大学卒業。2000年岡山県庁入庁。特に公共工事のIT化に関わり、入札情報の公開や、成果物データベースの構築による情報の有効活用(CALS/EC)をすすめるなど建設マネジメントを中心に取り組む。2012年3月に県庁を退職し、9月に市民530名の寄付によりみんなでつくる財団おかやまを設立。(平成26年8月1日に公益認定)現在は、みんつくと(株)イシダ工務店、2つの組織を経営しながら様々なプロジェクトの立ち上げ、企画の支援を行う。岡山県観光特使、FMくらしき「縁join!SPOxT」パーソナリティー 等。
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