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「“みんなでつくる”財団」の作り方~地域の寄付で運営される地域のための財団とは~

「財団」と聞いてみなさんはどんなことをイメージされますか?
「何かの研究をしている」「地域活動に助成している」そんなイメージでしょうか?また、財団とは誰が作るものなのでしょうか?企業や行政、資産家が作るものというイメージはありませんか?

欧米には100年以上前からコミュニティ財団という組織があります。その特徴は、行政や企業によるものではなく、地域の人たちの寄付により設立・運営されるというものです。
近年、日本においてもコミュニティ財団の設立が増えてきており、岡山県でも2012年9月に中四国初のコミュニティ財団「みんなでつくる財団おかやま(通称:“みんつく”)」が設立されました。“みんつく”の設立に当たって、岡山県内27市町村100名以上の若者の呼びかけにより530余名の方から寄付が寄せられました。その寄付を原資として岡山県内のNPOの活動に助成を行い、その地域で必要とされていることを、市民の力で実現していく後押しをしています。日本には昔から“講”や“結”と言って、地域で協力してお金を集めたり、事業を行ったりする仕組みがありましたが、“みんつく”を始めとするコミュニティ財団はその現代版と考えて頂くとイメージがしやすいかもしれません。

価値観が多様化し、社会の変化も著しい現在、地域に必要な取り組みはますます増えていますが、一人一人が自分の興味のあることや実現したいことに関わりやすい仕組みを作ることが必要だと考え、設立したのが“みんつく”です。

 “みんつく”には大きく3つの仕組みがあり、これにより地域の誰かが実現したいことに対して、事業者として、支援者として、自由な立場でかかわることができます。
○自分で事業提案をして、共感者(寄付者)をあつめる「割り勘で夢をかなえよう!地域版クラウドファンディング」事業指定助成プログラム
○自分の好きなテーマで基金を作る「みんなの貯金箱をもとう!冠基金事業」
○人や情報がつながる場「みんなとやればできる!地域円卓会議」

“みんつく”では、この3つの仕組みを活用し、地域内のヒト・モノ・カネ・情報といった資源をつなげること、思いを形にすることに取り組んでいます。

ここからは、コミュニティ財団“みんつく”の設立の経緯についてお話ししたいと思います。

平成の30年間で日本の地方の人口構造は大きく変わりましたが、多くの人々が問題意識を持っていることに対しては、行政の取り組みが進みやすい反面、問題に気付いている人が少なく、その問題の対象者や対象範囲が狭かったりする場合は行政として取り組みにくく、もし、行政が取り組むことができたとしても、問題解決のスピード感が緩慢であることも散見されます。社会課題が多様化する中では、「課題のタネ」をいち早く発見し、解決策を見出して実際に取り組むことが求められます。このようなスピード感を必要とする領域は、まさに個人や民間の得意とするところです。(昨今、NPOの設立が増えていることからも、個人や民間で取り組むことの必要性や重要性が増していることがうかがえます。)

私は“みんつく”の設立前は岡山県職員として働いていました。その際「地域をよくしたい!」という思いは民間と行政で同じであっても、両者がもめている状況をみかけていました。そして、問題はそれぞれの特性が活かされていないことにあるのではないかと感じていました。
そんな時、京都や沖縄にコミュニティ財団(当時は“市民ファンド”と呼ばれていました)が有るという話を聞きました。岡山県でも この“市民ファンド”について勉強をしようと、岡山NPOセンターが県受託事業(2011年度)により、資源循環の仕組みづくり勉強会を開催し、私もその会に参加しました。そして、その勉強会に集まったメンバーを中心に、“みんつく”設立の機運が高まりました。この勉強会を通して、私が地域に必要だと思っていた 自分たちが気になる地域課題に、その地域の一員として取り組める「思いがつながるインフラ」=コミュニティ財団があることにより、一人一人の当事者意識が強くなり、自分たちの存在意義を実感できると確信するに至りました。
2012年3月、県庁を退職。そして、財団の設立に取り掛かったのです。

財団法人の設立には300万円の財産が必要ですが、“みんつく”では、この300万円を地域のみんなで協力して集め、地域の一人一人が作った財団にしようと取り組みを始めました。2012年5、6月には、岡山県内各地を回り、20~30代の若者を対象に、財団の設立に賛同する「呼びかけ人」を募り、結果として、県内全27市町村から100名を超える「呼びかけ人」が集まりました。元々勉強会にも様々な職業の人が参加していましたが、医師、弁護士、公務員、政治家、ゴスペル歌手、書道家、バーテンダー、会社員、学生など多様なメンバーが参画してくださいました。そして、「呼びかけ人」を中心に、財団設立に必要な300万円の寄付募集、発起人集めを行いました。

「市民の寄付のみで財団が作れるのか?」というネガティブな声もあった中、2012年7月7日から9月10日の約2ヶ月間で、小口(大人5,000円/1口、学生2,500円/1口)の寄付を中心に530名を超える方々から合計4,133,000円を拠出いただき、2012年9月28日に「みんなでつくる財団おかやま」を設立しました。

その名のとおり、“みんつく”は、いろいろな世代や立場の一人一人の思いが形になったものなのです。

設立から平成30年末までに約1億円の寄付をいただき、100を超えるプロジェクトに助成しています。平成30年7月豪雨災害でも、災害発生の翌日に基金をたちあげ、最初の2ヶ月間で約4,000万円の寄付があつまり、仮設診療所の建設や被災児童のための学童保育の運営、避難所の緊急物資調達事業などにスピード感をもって取り組むことができました。
個人が自分の思いを形にする加速装置として意思をもって「お金や時間」資源を使うことができる仕組み“みんつく”が岡山にはあります。

次回は、具体的に思いが形になった事例を紹介したいと思います。

Civil Engineer (仕組みつくりの技術者)石田篤史
1977年、倉敷市出身。立命館大学卒業。2000年岡山県庁入庁。特に公共工事のIT化に関わり、入札情報の公開や、成果物データベースの構築による情報の有効活用(CALS/EC)をすすめるなど建設マネジメントを中心に取り組む。2012年3月に県庁を退職し、9月に市民530名の寄付によりみんなでつくる財団おかやまを設立。(平成26年8月1日に公益認定)現在は、みんつくと実家の工務店、2つの組織を経営しながら様々なプロジェクトの立ち上げ、企画の支援を行う。岡山県観光特使、FMくらしき「縁join!SPOxT」パーソナリティー 等。
1977年、倉敷市出身。立命館大学卒業。2000年岡山県庁入庁。特に公共工事のIT化に関わり、入札情報の公開や、成果物データベースの構築による情報の有効活用(CALS/EC)をすすめるなど建設マネジメントを中心に取り組む。2012年3月に県庁を退職し、9月に市民530名の寄付によりみんなでつくる財団おかやまを設立。(平成26年8月1日に公益認定)現在は、みんつくと実家の工務店、2つの組織を経営しながら様々なプロジェクトの立ち上げ、企画の支援を行う。岡山県観光特使、FMくらしき「縁join!SPOxT」パーソナリティー 等。

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