少子化の著しいスペインで人口が急速に増えているそうだ

南欧諸国では、自国民の出生率の低下が著しい(図1)。これは、北欧やドイツなどと比べ際立った特徴だ。しかし、意外にも南欧の出生率の低下している代表的な国であるスペインで、「人口」が急速に増加し、それに伴って経済が好調である。


(図1)日本、イタリア、スペインの出生率

世界経済のネタ帳より筆者作成



日本、イタリア、スペイン3国は、他の欧州諸国や東アジア諸国と同じように、1990年代から急速な少子化に見舞われた。その後、政府の子育て支援策で、2000年代になり多少の持ち直しはあったが、2020年代から再び少子化が進行している。2023年の合計特殊出生率は、日本1.20、イタリア1.20、スペイン1.12である(人口減少を食い止めるためには2.1以上必要)。

少子化の結果、スペインではさぞかし日本と同じように人口が減っているだろうと思われるが意外にそうではない。


(図2)スペインの人口推移

世界経済のネタ帳より筆者作成



(図2)日本は、2000年代までの人口増加が終わり、2010年代から急速に人口減少が起こっているのに対して、スペインでは出生率が低い(1.12)にも関わらず、人口は1980年の3776万人から、2025年の4972万まで、常に増加している。


(図3)日本とスペインの人口増加(減少)率推移

世界経済のネタ帳より筆者作成



人口増加率を見ると、(図3)で示されるように、橙色の日本が、2000年代後半から、常に人口が減少している(赤の点線は増減率0)ことに対して、スペインは常に(2010年代前半を除き)0.5―1.5%程度、人口が増加している。出生率が極端に低いのに人口が増加しているのは、移民の増加が原因である。数多くの移民が、ヨーロッパ諸国、南米、アフリカから流入しているのだ。

人口の増加(減少)と、GDPの増加(減少)とは大きな関係がある。人口増加の国は、生産、消費双方が活性化する。その反対に、人口減少の国は、平均年齢が上がるせいもあり、何事も内向きになり経済は低調になる。


(図4)スペインの人口と一人当たりGDPの推移

世界経済のネタ帳より筆者作成


このグラフで見るように、スペインの人口と一人当たりGDPはほぼ比例して伸びている。人口が増えるとその国のGDP全体が増えることは当然だが、一人あたりのGDPにおいても顕著に増加するのだ。


(図5)日本の人口と一人あたりGDP推移/参照

世界経済のネタ帳より筆者作成



日本の一人当たりGDPの推移も、人口の増減と関連している。

最後に、一人当たりGDPのスペインと日本との比較の推移を見てみよう。(図6)のように、1990年代は、一人あたりのGDPの比較では、日本はスペインの2倍以上だった。2000年代になって差が縮まり、2024年に日本はスペインにも一人あたりのGDPで追い越された。これも、人口の増減の結果である。人口が経済のもとになっていることがよく分かるだろう。


(図6)日本とスペインの一人あたりGDP

世界経済のネタ帳より筆者作成

公益財団法人橋本財団 理事長、医学博士橋本 俊明
1973年岡山大学医学部卒業。公益財団法人橋本財団 理事長。社会福祉法人敬友会 理事長。特定医療法人自由会 理事長。専門は、高齢者の住まい、高齢者ケア、老年医療問題など。その他、独自の視点で幅広く社会問題を探る。
1973年岡山大学医学部卒業。公益財団法人橋本財団 理事長。社会福祉法人敬友会 理事長。特定医療法人自由会 理事長。専門は、高齢者の住まい、高齢者ケア、老年医療問題など。その他、独自の視点で幅広く社会問題を探る。
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