

イエスタ・エスピン=アンデルセンによる、資本主義社会3つのタイプは、「保守主義」「新自由主義」「社会民主主義」に分類される。「保守主義」は、コーポラティズム(またはコミュニティ主義)でもあり、伝統と社会の連帯を重視する。伝統を重視することは、急な社会制度の変化を望まないことである。ナショナリズムとの親和性も強い。「新自由主義」は、個人の自立を目指し、個人の自由を第一とする。そして、政府の役割は限定的なものとする。市場を中立公平なものと見なし、資本主義を援護する。メリトクラシー(能力主義社会)は肯定される。「社会民主主義」は、個人単位の社会を目指すことは、新自由主義と同じであるが、国家の関与を多く求め、自由よりも平等に力点を置く考え方である。伝統的な地域での相互扶助よりも、公的機関(国や自治体)が経済活動でもある程度の規制を行い、福祉活動の主体となり、再分配によって格差が生じないようにし、平等な社会を目指す。
それぞれの欠点は次の通りだ。
「保守主義」は、進歩に対して懐疑的であり、DEI(多様性、平等、包摂)の行き過ぎを快く思わない。権威を認め、個人の孤立を恐れる。コミュニティを尊重するあまり、昔からの家族制度や社会制度が変化することを嫌う(選択的夫婦別姓反対など)。
「新自由主義」は、資本主義を至上のものとするので、すべてを貨幣化、商品化しやすい。お互いに助け合うべき関係を、市場化、商品化してしまう。結果的に格差が生じる。
「社会民主主義」は、いわゆる「リベラル」に近い。DEIを支持するあまり、それに反対する人たち(中年以降の男性、農村、中小の事業者など)を、時代に遅れた人とみなす。再分配政策(富裕層から貧困層への資金の移動)をとるので、税や社会保障が大きくなり、国民負担率が高くなる。
なお、昔からの右派、左派の分類では、ニュアンスは多少異なるが、保守主義と新自由主義は右派に属し、社会民主主義は左派に相当する。
さらに、この3つの形態とポピュリズムとの関係を見てみよう。上記3つの形態は、いずれも一定の長期的見通しと信念を基本としている。ポピュリズムとは、短期的に大衆からの人気を得ることを第一とする政治思想や活動を指す。本来は大衆の利益の側に立つ思想だが、大衆を扇動するような急進的・非現実的な政策を訴えることが多い。3つの純粋な福祉資本主義の世界の中では、いずれもポピュリズムは成立しない。しかし民主主義はもともとポピュリズムへ向かう危険を孕んでいるので、不完全な民主主義、特に社会民主主義の未熟な状態はポピュリズムを生みやすい。自立した個人から、政府に依存する民衆に変化しやすいのだ。
しかし、ポピュリズム国家と、北欧の進化した社会民主主義国家の違いは明らかだ。北欧の国々は、国民負担率(租税と社会保険料)がいずれも高いが、国民の満足度も高い。つまり、自分たちが作った政府を信用して高い負担の使い道を考え、それを容認しているのだ。それに反してポピュリズムは、自分たちの政府でなく、政権は何らかの外部から与えられたもの、あるいは施政者が自分たちとは異なるもの(昔の領主的な存在)と考えて、政府が何とかするだろうと決めつけて、自分たちでは難しいことを考えないようになり、政府に対して場当たり的な要求をする。結果的に国民の負担を抑え、支出を増やし、将来の世代に負担を先送りすることになる。
現在の日本政府の政策である、場当たり的な国民への給付、消費税の一時的な停止、ガソリン税の暫定税率の廃止などは、国民への給付と言いながら、本質は中所得層に対する支援であり、貧困層に対するものではないし、地球温暖化に対する政策でもない。すべてポピュリズム的政策といえる。







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