2026年度から予定されている「私立高校授業料無償化」制度は、多くの家庭にとって大きな安心につながるはずでした。ところが先日、自民党の教育・人材力強化調査会がこの制度の枠組みの中で『「広域通信制高校」を対象外にする方向で検討している』という報道がありました。報道では、「現在学んでいる生徒への支援は別の予算措置を検討する」としていますが、その内容は明らかになっていません。さらに、新入生への支援策も示されておらず、子どもや家庭に不安が広がる可能性があります。
広域通信制高校の無償化対象外について、自民党の教育・人材力強化調査会は「検証が十分でない」ことを理由に挙げています。確かに一部の通信制高校では運営体制に問題が指摘されています。しかし、それは認可した行政が監督すべきことであり、学ぶ子どもたちの責任ではありません。一部学校の問題を理由に、子どもたち全員を「無償化対象外」とするのは筋違いです。監督責任を果たすべき行政が、その責任を子どもや家庭に転嫁することは許されません。
私たちは、通信制高校やサポート校に通う子どもたちを対象に、年収350万円以下の世帯に対して自己負担額の半額を給付する奨学金事業を行っています。制度開始から2年間で、71名を支援しています。対象生徒の多くの家庭は、授業料が無償となる就学支援金を受けている一方で、残りの自己負担分を貸付などで賄っています。無償化の対象から外されれば、この負担はさらに増し、通学そのものを諦めざるを得ない家庭が出てくる可能性があります。
私たちが支援をしている奨学生の中には、「中学校は不登校でまったく通えなかった」「発達障害があり、全日制高校では学習についていくのが難しい」と語る子どもたちが少なくありません。通信制高校は、そうした子どもたちの「学び直しの場」や「外出の機会」となっています。週1日の登校から少しずつ学校に通えるようになり、今では「友達ができました」「資格を取りたいです」「アルバイトを始めました」と未来に向かう希望を語る子もいます。通信制高校は、一人ひとりに合わせた学びを実現し、子どもたちの可能性を切り開く重要な教育の場です。
現在、通信制高校ではすでに新年度に向けた説明会や出願が始まっています。この時期に「無償化対象外」になる可能性があるとの報道が流れることは、困難を抱えてきた子どもたちに、さらなる不安を与えることになります。必要なのは、対象外と切り捨てることではなく、問題がある学校に対しては行政が適切に監督を強める一方で、子どもたちの学びを確実に保障する制度を整えることです。
私たちは、広域通信制高校を授業料無償化の対象外とする方針に反対します。監督責任を果たすべきは行政であり、子どもや家庭ではありません。制度の不備を子どもに押しつけることは間違いです。通信制高校は、多様な背景をもつ子どもたちにとって「居場所」であり「未来への扉」です。その学びを途絶えさせないために、一刻も早く具体的な支援策を示し、全ての子どもが安心して学び、受験ができる機会を保障することを強く求めます。
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