

日本人同士で政治や文化の問題に対して議論することが少ないのは、論理的な思考を持つ習慣がないからだと思っていた。しかし、それだけではなく、周囲の意向を過度に気にして自分の意見を表明できない、いわゆる「同調圧力」の存在も大きな要因ではないかと思うようになった。同調圧力は、考えていても発言に至らず、結果として議論の場が成立しにくくなる原因かもしれない。例えば、外国人と仲良くすること、あるいは、地球温暖化を防がなければならない、などの、賛成せざるを得ないスローガンに対して、なにがしかの疑問を持っていても、同調圧力によって表向きは反対しづらいので、自分の意見を表明できないことは意外に多いのではないか。しかし、この状態で誰かが公式に、外国人はあまり日本に入れない方が良い、あるいは地球温暖化は嘘であるなどの意見を述べると、初めて「本当は自分もそう思う」と表明する人が増えてくるようだ。この傾向は日本人に限らないが、日本での強い同調圧力はさらに問題を増幅する可能性がある。
外国人に対する批判的態度は、人間の身内を大切にして外部に厳しく当たるという一般的な動物的性質から言えば、当然のことだと言える。しかし、人類はお互いを理解する必要性を感じ、すべての人種や民族は「平等」であるとの倫理観を作った。従って、表面的には倫理的に外国人の流入に対して反対できない「同調圧力」が生じる。この中にでも、日本人は特別な存在であり、他のアジア人よりも優秀で優れている存在だと言う考えを持つ人は意外に多い。
日本では、移民は日本から外国へ行くことだと思っている時代が長く、外国人が日本に大量に移民することを想定していない。結果的に、外国人の取り扱いをどのようにするかについて、欧州の諸国よりも考える時期が大きく遅れてしまったことも大きい問題だ。
また、誰でもまだ現れていない事柄を想像して概念を考えることは難しい。地球温暖化で直接の被害がないときに、科学的データを見せられて、温暖化に対する備えをしろと言われても、すぐには同意できない。しかし、多くの知識人が、温暖化がやってくることに同意し、その原因が二酸化炭素の放出にあるといえば、それには反対しづらい。反対すると、環境問題全般に対して反対しているように思われる。しかし、誰か有力な人が反対の意見を述べ、それが拡散されると、それまで同調圧力にさらされた意見が表面化するのだ。
日本社会は、一見穏やかに見えて、実は声なき考えが抑圧され、同調の海に覆われている。誰もが本音を呑み込み、「空気」に従い、「まあ仕方ない」とやり過ごしている。だが、そうして溜まり続けた不満と疑念は、ある日突然、ひとつの「新しい常識」へと姿を変える。しかも、それが極端であればあるほど、なぜか安心して従える空気が生まれるのだ。昨日まで沈黙していた人々が、今日から一斉に過激な意見を唱え始める。信頼されていなかったはずの政府に、突如として「強権による秩序回復」を求め始める。それはまるで、静かな沼に落とされた石が、一瞬にして波紋を広げるような現象である。そうであれば、同調圧力に埋もれた本音が姿を現すとき、本当の議論が行われるし、同時に、過激な意見も表れるだろう。このようなときに、マスメディアの営業成績を意識しない、本当の姿勢が問われるのである。







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