インターネットは、人々がネット上で自由に意見を言えること、ネット上で自由な活動ができる場として期待されました。しかし、2000年代の後半から、GAFAM(Google(グーグル)Apple(アップル)Facebook(フェイスブック)Amazon(アマゾン)Microsoft(マイクロソフト))などのネット企業は、インターネット空間を事実上支配して、この空間で活動する人たちから「地代(レント)」を徴収しているかのようです。一般の多くの人は、これらの会社のサービスを利用することによって、消費者としての行動を把握され、色々のデータを知らないうちに取得されています。また、これらのネットワーク上で活動する企業も、GAFAMに対して、何らかの「地代」を支払っているのです。これらGAFAMはいずれもアメリカ企業であり、日本は膨大なデジタル貿易赤字をアメリカに支払っていることになります。
世界で唯一GAFAMの支配から免れているのが、中国企業です。百度(バイドゥ)、ファーウェイ、テンセント、アリババなどの中国大手IT企業は、アメリカトランプ政権およびその後のバイデン政権が中国企業を排除したために、結果的に力をつけ、GAFAMの支配から抜け出していることは皮肉な現象です。ちなみに日本ではGAFAMの支配に抵抗して、独自の世界を作っている企業は見当たりません。
ヤニス・バルファキス著の『テクノ封建制』はこのようなGAFAMの支配がどのような方法で、あるいは、どのような段階で行われているのかを明らかにします。近代国家以前の「封建制度―feudalism」に似た状態が起こっているというのです。「封建制度」は、中央集権ではなく、中央の王や皇帝から分配された、あるいは古くから所有している領土を、それぞれの領主が支配し、中央からの直接支配でなく、個別の領主が統治する形になっていて、中央の支配権がなかなか及ばない状態を指しています。このような「封建制」と同じように、領主であるGAFAMの領土に住まう領民(一般市民)は、GAFAMの下にいる以上は、中央政府の統治が及ばない状態での支配を受け、領主に対してレント(地代)を支払っているのです。この状態は封建制の中での「農奴」と似通っていると指摘されます。
マルクスによると、資本主義は、すべてのものを商品化して交換価値に変えていくのですが、それでも『テクノ封建制』以前には、人々は主体的な意志のもとに交換に参加します。その結果、巨大企業のもとに多くの活動が行われ、中小企業あるいは一般消費者は囲い込まれる危険がありました。それにもかかわらず、資本主義のもとでは、いくら独占が強くても、逃れるすべはあったのです。しかし、『テクノ封建制』では、一般市民は封建領主と農奴との関係のように、知らないうちにGAFAMの支配に囲い込まれ、逃れるすべがないようにも思われます。まるで中世の農民が、自分が支配されていることにも気づかず、当然のこととして領主に従い、地代を払っていたように。
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