現在50万人程度の外国人労働者(週28時間以内労働の留学生を含む)が、15年後には年間100万人以上となる可能性が高い状態で、日本が取りうる政策はどのようなものになるのだろうか?
まず、①外国人労働者を「移民」を認めることだ。2018年の国会で、安倍内閣は「政府としては、いわゆる移民政策を取ることは考えていない」と質問に対して答弁している。この答弁が未だに日本の政策についてまわる。そろそろ、「移民政策を取ることを考えてない」を修正し、国際基準に沿って、「移民」を認めなければならない。そして、問題は、「移民」を単なる労働力とみる今までの考えから、生活する住民として見る考えに切り替えていかなければならない。実際、在留外国人の生活に伴う消費は、日本の成長のために大きな役割を果たす。従って、「仕事が済んだら帰ってください」と言う態度でなく、「出来れば、日本に住み続けてください」との考え方が必要だ。その前提のもとに10年間の「移民政策」を策定する。
ただし、②ある時点での急速な移民増加は、欧州の例から見ても避けなければならない。年間50万人から60万人(留学生を除く)以上にならないように、数を調整できる制度を作り上げるべきだ。また、同時に「移民」が大都市に集中しないように、地方にも分散でいるように調整する必要がある。特に地方の第一次産業には、補助金を入れてでも、多くの「移民」を確保することが望ましい。
第一次産業と同じ様に不足するのは、エッセンシャルワーカーである。これらは、介護、対人サービス業、運輸などが含まれる。これらの職種に対して、育成就労制度や特定技能が対応しているが、いずれも韓国や台湾などとの競合がある。従って、国の積極的な支援が必要となる。例えば、③特定技能をもとに日本へ「移民」する場合、日本語教育に対して、送り出し国へ日本語教師を派遣したり、あるいは、日本語教師に対する教育を施したりする必要もある。
この中で、特に④ミャンマーに関しては、特別な配慮が必要だ。クーデター以降のミャンマーに対する日本の援助は十分と言うには程遠い。ミャンマーは親日的な国民性、多くの人口(5000万人以上)、そして深刻な国内情勢と経済不安がある。ミャンマー国民に対しての日本ができる最も効果的な援助は、日本に来ての就労を支援することだ。
最後に、移民の数が多くなると、国内の不満を移民に転嫁する動きが、欧州諸国では大きくなっていった。⑤特にポピュリスト政党(※1)の台頭には注意が必要だ。現在の予算案の審議でも、予算の裏付けなく、大衆の支持を背景にした(SNS等を駆使する)、ポピュリズムに近い政党が支持を伸ばしている。
欧州の教訓から、日本が多くを学び、増大する移民に対して、新しい国家感のもとに、上手に政策を展開できるかによって、日本の将来が左右されるだろう。
(※1)ポピュリズム政党;政治に関して理性的に判断するよりも、大衆の短期的な利益を優先しその支持を求める手法、あるいはそうした大衆の基盤に立つ政党
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