タンザニアに1年以上住んで感じること②(生活編Part1)

タンザニアでの私の生活から今回の話を始めたい。タンザニアの首都ドドマ州にアパートメントタイプの部屋を借りて、そこを生活の拠点にしている。部屋にはテレビがなく、たまに電気やネットが落ちる、トイレの水が溢れ出すなどを除けば、快適そのものである。簡易キッチンはあるが、私は料理をしない(できないと言った方が正しい)。そのため、食事は外食もしくは日本から持ってきたものである。生活に必要なものは車で20分ほどのスーパー、おやつや飲み物などは、近くの小さな商店で購入している。移動は徒歩を基本としつつも、遠い場所は車を使う。日本から持参した服や下着で生活し、衛生・美容商品も現地にあるため生活に支障はない。ただ、水や乾燥の影響で髪は傷んだ気がするので、最近日本からコンディショナーを持ってきた。昨年タンザニアで髪を切ったことがある。インド系タンザニア人のお店で、仕上がりのイメージ写真を見せ、英語で説明をし、髪を短めにしてもらった。顔剃り付であった。心配していたが悪くなかった。今回は、タンザニアの日常生活に焦点を当て、住まい、移動、食事、ファッション、美容などの情報をお伝えする。

タンザニアの住まいは、日本と似ている。私が拠点としているアパートメントはコンクリートで出来ており、多くの家も同様である。他方、少数ではあるが、皆さんがイメージしているかもしれない土や木などで出来ている簡易の家もある。一つの家に少数で住むことは稀で、少なくとも5名以上が暮らす。私の知り合いや友人に聞くと、だいたい子どもは3名以上である。我々の親世代にあたるが、聞いた中で最も多かった兄弟姉妹は、衝撃の14名である。子どもの多さに加え、親戚を含めた大家族が一緒に暮らす光景が多い。

移動手段は、多様な選択肢がある。バイクタクシー「ボダボダ」、三輪タクシー「バジャジ」、バスの「ダラダラ」、タクシー、フェリー、鉄道、飛行機などがある。豆知識として、「ボダボダ」、「ダラダラ」などスワヒリ語では同じ音を繰り返す単語が多くあることも伝えておきたい。ちなみに配車アプリ「Bolt」がドドマ州、ダルエスサラーム州など一部地域では流通しており、非常に使い勝手が良い。車は、TOYOTA車を中心に日本の中古車が占める割合が圧倒的である。日本の昭和、平成で使用されていたバスや乗用車が海を渡り、タンザニアで今大活躍をしている。日本車の質の高さを再認識すると共に世界のつながりを実感する瞬間の一つである。



日本の中古バス

食事は、非常に美味しい。私は、タンザニアの主食、メイズやキャッサバ等の穀物の粉に湯で練った白い弾力ある食べ物「ウガリ」が苦手で、米料理を食べている。米料理もシンプルなお米「ワリ」、炊き込みご飯「ピラウ(日本のピラフに近い)」、ソース付き混ぜご飯「ビリヤニ(日本のカレーに近い)」など様々である。私は、肉、豆、野菜など副菜もつく「ピラウ」や「ビリヤニ」が大好きである。「ゼゲ」(日本のお好み焼きに近い)という芋と卵と小麦粉を使った料理もある。ただ、いずれも味が濃く、カロリーは非常に高い。少し健康的な食べ物としてザンジバル州の「ウロジョ」(日本のおでんに近い)がある。熱々のスープに卵、肉、じゃがいもなどの具材が入っており、一杯食べれば満足する。ローカル料理以外にもイタリアン、インド、中華料理が食べられる店もある。ただし、日本料理は非常に限られる。マンゴー、パパイヤなどフルーツは味が濃厚で美味しい。

食事の作法にタンザニアらしさがある。食事の前に手を洗う。これは、手を使って食べることもあるが、食事に入るリズム作りの点からも重要だ。小出しにするのではなく、注文されたものを揃えて出そうという意識が強く、料理の提供に時間がかかる。1時間以上もざらにある。一番伝えたいのが食べ終わった後、飲み終わった後の片付けがやたら早いことだ。何度もまだ食べているから、飲んでいるから待ってと言っている。タンザニア文化として、目の前に終わったものが残っているのは望ましくない感覚が広く浸透している。

飲み物も多様である。水、ジュース、ソーダ、スムージー、コーヒー、紅茶、ビール、ワインなどがある(私はお酒が飲めないため、ジュースを愛飲している)。特にオススメなのは、さとうきびジュースである。その場でさとうきびから絞って飲めるジュースで、濃厚な甘さがある。癖になるほど美味しい。飲み物の糖分の多さにも触れておきたい。果物の糖分は良いとして、コーヒー、紅茶を飲む際にほぼ全員が砂糖を山のように入れる。確かに甘くなって美味しいとは思うが、見ているこちらが勝手にその人の健康を心配する。



筆者の好きな「ピラウ」

ファッションは、伝統と他国モダンが上手く融合している。男女ともに伝統的な服、また、宗教的な服もあり、そのシーンに合わせて着こなしを変えている人が多い。公的機関の男性の場合、金曜日はポロシャツデーであり、多くの人がポロシャツを着ている。日本のクールビズスタイルだ。

美容は、男女ともに特徴がある。男性の髪は、極端に短い(これまで一人だけショートドレッドヘアの男性を見た)。理由を聞くと、短い方がかっこいい、手入れが楽というものである。私はショートの長さが好きなのだが、タンザニアで散髪屋の前に行くと、長すぎるから切りなさいという意味で「どうぞ」と声をかけられる。友人に話を聞くと、2週間に1回は通っているとのこと。値段も日本円で60円からという安さがあるため、通いやすそうである。一度男性が髪を切っているところを観察したことがある。顧客である男性は、何も言わず散髪屋の椅子に座り、理容師も勝手知ったる様子で髪を切り始め、10分程度で終わり、彼は満足して帰っていった。

女性は、エクステや染色をしている人も多い。ストレートに憧れている人もいるようで、ストレートパーマをかけている人も見かける。ネイルをする女性も多く、イスラム教の人はオシャレなヒジャブも被るなどオシャレを楽しんでいる人が多い。中古車輸出をおこなっている株式会社ビィ・フォアードが2022年4月に実施したタンザニア女性58名を対象にしたアンケートでも、美容室に行く頻度は、「月2~3回」が36.2%、「月に1回」が34.5%、94名対象の隣国ケニアは、「月に1回」が56.4%であり、美に対する関心が高いと言える。

最後に、飲食ともに日本人の口に合う味であり、困ることはないと断言できる。ただし、スイーツの質は低い。また、ドドマワインの質は高いようで、機会があれば試して欲しい。次回も引き続き「生活」をテーマに健康、医療、保険、呪術などの情報をお届けする。



男性のヘアスタイル

JICA専門家足立 伸也
1987年兵庫生まれ。
立命館アジア太平洋大学卒業。法政大学大学院修了(公共政策学修士)。現在同大学院博士後期課程在籍中。
組織の人材育成、企業の海外展開、新興国の社会課題調査などのコンサルタント、ケアラー(家族介護者)向けの事業開発、カイゼン・アプローチのアフリカ展開戦略策定などを経て、現在はタンザニア在住。『シン・ニホン』アンバサダー。エシカル・コンシェルジュ。
1987年兵庫生まれ。
立命館アジア太平洋大学卒業。法政大学大学院修了(公共政策学修士)。現在同大学院博士後期課程在籍中。
組織の人材育成、企業の海外展開、新興国の社会課題調査などのコンサルタント、ケアラー(家族介護者)向けの事業開発、カイゼン・アプローチのアフリカ展開戦略策定などを経て、現在はタンザニア在住。『シン・ニホン』アンバサダー。エシカル・コンシェルジュ。
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