※ 日本語訳は英文の後に掲載しています。
A short disclaimer in advance, I am only a philosopher by heart and not by training. Therefore, the following text only reflects my personal interpretation and lessons, which I took from Erich Fromm‘s ‘The Art of Loving’.
Erich Fromm (1900-1980) was a renowned German social philosopher and psychoanalyst known for his insightful critiques of society. His published works, including 'Escape from Freedom' (1941), 'Man for Himself' (1947), 'The Sane Society' (1955), and 'The Art of Loving' (1956), earned him international acclaim. Interestingly, despite being a German author, Fromm's books achieved greater success abroad. This article examines the essential takeaways from the first chapter of 'The Art of Loving', emphasizing the concept of love as an art, the necessity of actively involving oneself in the act of loving, and the rationality of the dating market.
“The first step to take is to become aware that love is an art, just as living is an art; if we want to learn how to love we must proceed in the same way we have to proceed if we want to learn any other art, say music, painting, carpentry, or the art of medicine or engineering”
(p. 5).
The subject of love is very complex. Attempting to provide a concise definition for the term 'love' proves to be a challenging task. Erich Fromm suggests that love should be viewed as a form of art. Mastering an art requires not only a deep grasp of its theory and practice, but also a fundamental passion and dedication towards the art itself. This means that artists must hold their craft in the highest esteem, making it the central focus and priority in their lives. This attitude is exactly what people should adopt when it comes to love. By doing so, couples can strengthen their emotional bond, protecting their relationship from the threat of fading love. Unfortunately, as pointed out by Fromm, far too many people mistakenly believe that love should come easily and stay effortlessly. This misconception stems from a lack of understanding that falling in love is just the beginning, while staying in love requires continuous effort and dedication.
“A second premise behind the attitude that there is nothing to be learned about love is the assumption that the problem of love is the problem of an object, not the problem of a faculty. People think that to love is simple, but that to find the right object to love—or to be loved by—is difficult” (p. 2).
In the world of classic love stories, there are unforgettable duos like Romeo and Juliet from the legendary pen of William Shakespeare, the passionate Jack and Rose portrayed in James Cameron’s epic ‘Titanic’, and the iconic pairing of Scarlett O'Hara and Rhett Butler in Margaret Mitchell's timeless masterpiece ‘Gone with the Wind’. These beloved couples have all enraptured audiences across the globe with their captivating tales of love. As a consequence, the search for a soulmate continues to be a common longing for many people, as they hope to find the perfect companion with whom they can share a lifetime of happiness. However, as Fromm pointed out, the true essence of love lies not in the object of our affection, but in the faculty of love itself. Far too many people underestimate the complexity and importance of learning how to love properly, and focus too much on external factors such as finding the perfect match. By shifting the focus from the object of love to the act of loving, Fromm argues that individuals can experience more fulfilling and meaningful relationships.”
“Two persons thus fall in love when they feel they have found the best object available on the market, considering the limitations of their own exchange value” (p. 3).
Capitalism did not only shape people's material desires, but also influenced their attitudes towards dating and relationships. In today's society, individuals often view potential partners as commodities to be acquired, each possessing certain qualities that are sought after, much like items in a store window (p. 3). As Erich Fromm pointed out, the modern pursuit of happiness is often tied to the act of acquiring things, whether it be material goods or a desirable partner. Therefore, the search for a romantic companion can be likened to an economic transaction, where individuals seek to maximize the benefits, they receive from the relationship. Despite this being accurate in theory and practice, Fromm urges us to move away from this rational mindset. He emphasises that the notion of love should not be seen as a transaction of goods, but instead as a meaningful connection built on genuine care and affection. Only by doing so, people will be able to experience the authentic meaning of love.
In the end, Erich Fromm's 'The Art of Loving' remains a remarkable book suitable for everyone who is intrigued by the spirituality, philosophy, and psychology associated with the pursuit and practice of love.
あらかじめ断っておきますが、私は教育を受けた哲学者ではなく、心から哲学者になっただけです。
したがって、以下の文章は、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』から私が得た個人的な解釈と教訓を反映しているに過ぎません。
エーリッヒ・フロム(1900-1980)は、洞察力に富んだ社会批評で知られるドイツ出身の有名な社会哲学者、精神分析医でした。『自由からの逃走』(1941年)、『人間における自由』(1947年)、『正気の社会』(1955年)、『愛するということ』(1956年)などの著書は、国際的に高く評価されました。興味深いことに、フロムはドイツ人作家であるにもかかわらず、彼の本は海外でより大きな成功を収めました。この記事は、『愛するということ』の第1章から得られる重要な洞察を検討しています。特に、愛を芸術として捉える概念、愛する行為に積極的に関わることの必要性、そしてデート市場の合理性に焦点を当てています。
“まず認識すべきことは、愛が芸術であるということです。それは生きることが芸術であるのと同じです。もし私たちが愛し方を学びたいのであれば、他の芸術、例えば音楽、絵画、大工仕事、あるいは医学や工学の技術を学ぶ時と同じように進めていく必要があります。”
(p. 5)
愛という主題は非常に複雑で、「愛」という言葉を簡潔に定義しようとすると、大変難しいことがわかります。エーリッヒ・フロムは、愛を一種の芸術として捉えるべきだと提案しています。芸術を極めるには、その理論と実践を深く理解するだけでなく、その芸術に対する根本的な情熱と献身が必要です。つまり、芸術家は自分の技芸を最も重要なものとし、人生の中心に据えなければなりません。
フロムによれば、この姿勢こそが、人々が愛に対して持つべき態度なのです。このアプローチを取ることで、カップルは感情的な絆を強め、愛が薄れていくという脅威から関係を守ることができます。しかし残念なことに、フロムが指摘するように、多くの人々は、愛は簡単に訪れ、努力せずに持続すると誤って信じています。この誤解は、恋に落ちることは始まりに過ぎず、愛し続けるには絶え間ない努力と献身が必要だということを理解していないことから生じています。
“愛について学ぶことなど何もないという考え方の背景には、もう一つの前提があります。それは、愛の問題は愛する能力の問題ではなく、愛の対象を見つけることの問題だという思い込みです。多くの人は、愛すること自体は簡単だが、愛するべき適切な相手、あるいは自分を愛してくれる相手を見つけることが難しいと考えているのです。” (p. 2).
古典的な恋愛物語の世界には、忘れられない名カップルが数多く存在します。シェイクスピアの不朽の名作『ロミオとジュリエット』、ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』に登場するジャックとローズ、そして『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラとレット・バトラーなど、これらの魅力的なカップルは、心揺さぶる愛の物語で世界中の人々を魅了してきました。
こうした物語の影響もあり、多くの人々は今もなお、人生を共に歩む理想の相手、いわゆる「ソウルメイト」を探し求めています。しかし、フロムが指摘したように、愛の本質は相手そのものにあるのではなく、愛する能力にあるのです。
多くの人々は、適切に愛することを学ぶことの複雑さや重要性を見過ごし、理想の相手を見つけることなどの外面的な要素に注目しがちです。フロムは、愛の対象から愛する行為そのものに焦点を移すことで、より深い意味のある充実した関係を築くことができると主張しています。
“二人の人間が恋に落ちるのは、自分の価値に見合う範囲で、いわば婚活市場で手に入れられる最高の相手を見つけたと感じたときである。(p. 3).
資本主義は、人々の物質的欲望を形作るだけでなく、恋愛や人間関係に対する態度にも大きな影響を与えてきました。現代社会では、多くの人が潜在的なパートナーを、ショーウィンドウに並ぶ商品のように見なし、求める特性を持った「獲得すべき対象」として扱う傾向があります (p. 3)。
エーリッヒ・フロムが指摘したように、現代の幸福追求は、物であれ理想のパートナーであれ、何かを「手に入れる」ことと結びついています。そのため、恋愛相手を探すことは、まるで経済取引のように、関係から得られる利益を最大化しようとする行為に例えられます。この考え方は理論的にも実践的にも当てはまりますが、フロムはこうした合理的な思考から脱却するよう私たちに促しています。彼は、愛を単なる取引としてではなく、真の思いやりと愛情に基づいた意味深い絆として捉えるべきだと強調しています。そうすることでのみ、人は愛の本質を体験できるのです。
結論として、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』は、愛の追求と実践に関わる精神性、哲学、心理学に興味を持つすべての人にとって、今なお価値ある名著と言えるでしょう。
References
Fromm, Erich (1956) ‘The Art of Loving’, online available at https://ia800201.us.archive.org/30/items/TheArtOfLoving/43799393-The-Art-of-Loving-Erich-Fromm_text.pdf last accessed 06.07.2023.
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