ケアの質とは

介護業界経験13年 ケアマネジャー・社会福祉士 の かえるちから です。
特定施設介護職員から在宅サービスエリア責任者、介護法人執行役員等などを経験させて頂きました。
自分の考えに固執してしまう欠点を持つ私ですが、投稿を機会に柔軟力を身につけたい!という密かな思いがあります。
言葉の影響は小さくなく、少しでも皆さんの「変える力」になれることを目指します。
介護現場の生々しい情報と考え方をシンプルに、分かりやすい内容をお伝えしていきますので宜しくお願い致します。

ケアの質とは

「ケアの質を上げていきましょう」「ケアの質が高い施設ですね」「ケアの質が低い状態なんです」このような言葉をよく耳にします。ケアの質はとても大きなカテゴリーであり、且つそれぞれの情報量や知識、過去の経験から成り立つ部分が多く、またその立場により認識は多岐に渡ります。私の介護経験から過去を振り返り、わずかでも真実に近づけられるよう筆を進めたいと思っています。


A様 要介護2 日常生活自立度(寝たきり度)A2 ※A2外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている。
主な現病歴:変形性膝関節症 世帯構成:独居

 

A様が介護付有料老人ホームへ入居されました。

 

A様は膝の痛みがあり、自宅ではほぼベッドで生活されており、最近はトイレまでの歩行が困難となり、排泄補助具(リハビリパンツ)を使用していました。そのような自宅での生活から、買い物や食事の準備が困難となったので、住まいの変更を決断なさいました。

A様が入居して最初に話されたことは、「トイレが近くに有るのがいいわ」「トイレに手すりがあって助かる」「段差がないのも」と入居後3日で排泄補助具を使用しなくなりました。

ケアスタッフは、A様の膝の痛みゆえに制限されている生活をホーム長へ報告し、往診医にて継続的に痛みを取ることでの対応を行いました。すると生活圏が拡大し、活動量が向上、それに比例して食事量も増えていきました。A様は「家で居る時より体調は良くなったわ」と友人に伝えていました。

上記の経過を踏まえると、ケアとは決して介護職員の人員や介護量ではなく、ましてや看護師の人数だけではないことが分かります。A様の生活の変化が、環境要因や情報提供、医療との連携がもたらした結果だと考えると、ケアの質がますます分からなくなってきました。

しかしながらAさんがおっしゃっていた「家で居る時より体調は良くなったわ」という言葉に重みを感じます。

A様でいうケアの質は
・今までの問題がどう変わったか
・入居されて生活がどう変わったか
に尽きます。


ただ環境が変わり、トイレまでの距離が近くになっただけでもケアの質だと言えるのです。

もし、ケアの質の定義が<手厚い介護・事故防止>となっていた場合、A様は膝が痛いから安静に、A様は転倒の危険性があるから排泄補助具を使用して下さい、A様は一人での外出は禁止です、となって、上記で導き出したケアの質とは正反対の結果になっています。

A様は自分で考え、自分で自立を目指し、自分で行動しています。ケアの質の定義の違いにより、我々がA様を邪魔しているに過ぎません。障碍を持たれた高齢者も一生懸命に考えているのです。ぜひ皆さんも《ケアの質とは・・・》を議論される機会を作ると良いでしょう。


あなたのホームのケアの質は、利用者さんの味方ですか?

 

最後に1点、A様の話の中で「家で居る時より体調は良くなったわ」という言葉がありました。体調は・・の〔は〕は何を意味しているのでしょうか。続きは次回に・・・

ケアマネ-ジャー・社会福祉士かえる ちから
特定施設介護職員から在宅サービスエリア責任者、介護法人執行役員等などを歴任。
介護現場のリアルな現状とその考え方を発信するため、「かえる ちから」のペンネームで本WEBマガジンに寄稿。
特定施設介護職員から在宅サービスエリア責任者、介護法人執行役員等などを歴任。
介護現場のリアルな現状とその考え方を発信するため、「かえる ちから」のペンネームで本WEBマガジンに寄稿。

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