すべての物質は、原子から成り立っている。生物も、その一部である人間も同様だ。原子は物体を形成するために集まり、いつかは離散する。これを繰り返す。原子は変わらないが、原子で作られている物質は、過去と現在ではその性質はすでに変わっている。そして、未来では再び変化するだろう。人体も同様だ。今この時間の人間は、昨日の人間とは体の組成がすでに異なる。未来ではさらに大きく変化する。脳の一部によって(個人の記憶によって)、過去の自分と現在の自分とを同じものと、仮に認識しているだけである。
すべてのものが集合して離散していくことによって、進化も生まれる。世界は生きているかどうかに関わらず、この法則に従って常に移ろいゆくことになり、一時も同じ状態はない。これは、一面では虚しいことかもしれないが、それが真実である。永遠に変わらない何かを求めても、手に入ることはない。今考えているあなたは、昨日のあなたではない。過去の自分と今の自分が同じであると感じているのは、「記憶」がそうさせているからだ。
そして、変化するもの、変化したもののすべてには、その成り立ちに原因がある。何も原因のないところから生じるものはない。たとえそれが突然生じたとしても、よく見ると何らかの原因が見つかる。世界は原因と結果の因果関係から成り立っているのだ。因果関係は、明白なルールがある場合もあるし、偶発的な出会いで生じる場合もある(この場合、因果は原因から結果に至る確率となる)。
人間は、一個の受精卵から分裂して姿が形成される。それは遺伝子に左右される。人間を始めすべての生物は、前もって決められた遺伝子の法則に従ってつくられる。そして、時々法則を破る偶然があり、それが進化をもたらす。無生物は、遺伝子はないが、何らかの原因があり現在の姿となっている。例えば、岩石が数十年あるいは数百年かけて破壊されるのは、因果的、必然的な結果である。
常に起こる万物の変化を認識するのは人間のみである。脳の発達が著しい人類は、万物の変化を理解し、想像できる唯一の存在だ。しかし、獲得したその認識は、なんと自己を否定するものである。なぜなら、人間は常に変化する万物の中で、自己を認識した唯一の存在になった結果として、生まれては消滅する万物の中に、自分自身も所属する存在であることを認識するようになったからだ。自己を認識すれば即ち、自身の消滅を認識せざるを得ず、それは苦悩を生むしかないだろう。自己が芽生え、自己を意識した人間という種は、自己の発見を生き残るために有効な手段としたかもしれない。その代わりに「死」を意識することが宿命付けられたのだ。これが人間の悩みの始まりとなる。人間には、独立した個人や自我があるように見えるかも知れないが、それらを超越して、すべてが因果関係(原因と結果)によって行く末が決められているのである。
神はいない。かわりに因果法則がある。因果によって世界は形成され、無くなっていく。秩序も因果関係による。もし道徳秩序が全能の神から生まれ、神がその秩序の始まりで、人は神に従うより他にないとすれば、なぜ世界はかくも道徳的無秩序に満ちているか。もし、神は世界の始まりを作っただけで、その後は自然に任せているとすれば、神は無責任である。世界は神が作り支配しているのではなく、原因と結果の法則による支配によるものであり、神ではない。良いことをすれば、そのことが必ずしも返ってくるわけではないのは、神に世界がよっているのでなく、因果関係によって世界が動いているからである。
すべてのものは、流れるように生成と消滅を繰り返す。それが世界の原理である。不死を願っても叶うことはない。万物の原理をどのように理解するかが鍵となる。
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