介護福祉士に合格 外国人職員の頼れるリーダー ミャンマー出身 ロイ トイさん

オピニオンズでは、岡山に住む多様な方々の人となりや経験をお伝えすることを目的に『VOICE~様々な文化的背景の人たちの声~』という特別連載を行っています。この企画を通して、多くの人の声と出会い、岡山における多文化共生を後押しすることができればと考えています。

今回は、ミャンマー出身のロイ トイさんです。人思い・家族思いの彼女。来日当初は、コミュニケーションで高い壁を感じたそうですが、今の会社では後輩たちに日本語を教えることもある、良きリーダーです。「私と同じ思いをする人が減るように」と、ある夢も話してくれました。

――いつ日本に来られたのですか?
2019年、熊本の会社に介護の技能実習生として入りました。ミャンマーでは5年ほど、国境なき医師団で受付や事務をしていたのですが、周りに海外に行く人が多かったことや給料が低かったことから「私も海外に行きたい」と思うようになりました。海外に行くなら、安全面から「絶対に日本!」と思っていました。他の国は考えませんでした。

――様々な職業があった中で、介護を選んだ理由はなんですか?
子どもとおじいさんおばあさんが好きで、日本に行くとしたら保育の仕事はできないから介護を選びました。私は両親が仕事で家にいなかったので、おじいさん・おばあさんに育てられてきました。10代のころに亡くなってしまったので最後に世話をしてあげられませんでした。ミャンマーでは、お年寄りを大事にする文化があります。お年寄りは家族で世話をしています。施設があっても仕事ではなくほとんどがボランティアです。ボランティアだとちょっときついかなと思って日本に来ました。

――日本に来て大変だったことはありますか?
コミュニケーションです。日本語能力試験のN3(※1)を取ってきたのですが、自分が教えてもらった日本語の使い方と全然違ったので大変でした。特別養護老人ホームで働いていたのですが、高齢者はうまくしゃべることができない人も多いので聞き取ることができませんでした。あと、方言が難しかったです。前の会社では同僚と話す機会はほとんどありませんでしたが、岡山に来てからは、グループで動くようになり、よくコミュニケーションをとるので上達してきました。今は、N1も取っています。

――岡山を選んだ理由はありますか?
Facebookで仕事を探しているときに、今の会社の求人を見つけました。場所を調べてみたら、「都会すぎず、田舎すぎずちょうど良さそうだな」と思って応募しました。2021年に岡山に来ました。スーパーが近くて、公共交通機関で行きたいところに行けるし、人が多すぎなくて本当にちょうどいいです。

――去年、介護福祉士の資格を取ったと聞きました。働きながら勉強はどうでしたか?
会社では、日本語能力試験のN1と介護福祉士の資格を取るために、週1回午前9時から午後6時まで勉強をサポートしてくれました。勉強の日は出勤日として扱ってくれて、宿題をもらうなどもしていました。仕事が休みの日にも勉強ばかりで、結構大変でした。

――今後の夢はありますか?
介護福祉士の資格を取ったので介護も頑張りたいですが、「通訳」の仕事もやってみたいです。私が日本に来た時、言葉がよく分からなくて困ったことがいっぱいありました。これから日本に来る人たちに「そういう目にはあわせたくないな」と思って、できるだけ挑戦してみたいです。介護福祉士の資格を取ってから勉強をしなくなったので、また勉強しなければいけません。

(※1)日本語能力試験にはN5からN1まで5つのレベルがあり、一番難しいのがN1。

書きたい人のためのwebマガジンOpinions編集部
Opinions編集部が取材・構成をしました。
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