発達障がいは不幸なのか

私は、小学6年生の息子と小学3年生の娘を育てている二児の母親です。そして相談支援専門員として活動しています。息子は「自閉スペクトラム症、注意欠如多動症」の診断を受けています。息子が発達障がいを疑われたのは1歳になり、保育園に入園してから数カ月経った時でした。担任の先生から「ちょっと気になるので、1歳半健診でお医者さんに相談してほしい」と言われました。その時、私は“憤り”を感じました。

「まだ1歳なのに、この年で障がいがあるかもなんてひどすぎる!」

指摘をしてくださったのは園長先生でした。集団行動が出来なかったり、お昼寝が出来なかったり…。出産前は保育園で看護師をしていたので、違和感はありました。でも我が子の事になると、やっぱり認めたくなかったんです。
結局1歳半健診で相談し、小児科で検査を受けましたが年齢が小さすぎたため診断はつきませんでした。「何かあったら来てください。」そのように言われて約2年後、再び発達検査を受け診断がつきました。
3歳になってからは体操教室に通い始めたのですが、先生の言うことを聞かない、みんなと同じ行動が出来ない、順番が守れない・・・。
「この子、たぶん発達障がいだろうな。」
正直、そんな姿を見たら認めざるを得ないなと感じたのです。

大型スーパーに行ってもカートに乗れないし、多動なので動き回り走り回る。チャイルドシートにもちゃんと乗れない。人が多い場所に行くと、癇癪を起こし暴言や暴力を振るってくる。母親(私)から離れる事に不安が強く、幼稚園も私はずっと付き添い、息子は行事には一切参加できず。小学校も入学式にも参加できず、そのまま不登校へ・・・。息子が生まれてからの11年間本当にたくさんの事があったし、しんどいと思うことが多々ありました。

『もう子育てをやめたい、逃げたい。』
そんなふうに感じることもありました。

じゃあ、“発達障がいは不幸なのか”

この11年間本当に大変でしたが、私の答えは“NO”です。

息子が生まれてきてくれたおかげで、たくさんのご縁に恵まれました。同じ発達障がいの子どもを育てる母親同士のつながりができ、色々な場面で支えてもらいました。例えば、同じ発達障がいの子を育てるお母さんとの座談会の中で、私の育児のしんどさを認めてくれたり、「頑張っているね」と励ましたりしてくれた時に、私は涙が出ました。そして、私の親友は息子の発達障がいの部分もまるごと受け入れてくれて、孤独で寂しかった私や子どもと頻繁に遊んでくれました。息子が癇癪を起こして暴れて私を殴ってきたとき、その姿を見た親友は私の心の痛みを感じてくれて、泣いてくれました。こんなふうに誰かに寄り添ってもらえる経験は、なかなかできないことだと感じました。ママ友間のカーストみたいなものも一切なくて、私が関わって来たママさんたちはみんながそれぞれの痛みや頑張りを認め合える人たちです。その中にいることが出来たのはとても幸せな事だと感じています。

そして、相談支援専門員として活動するきっかけになったのも息子でした。息子の担当になってくれた相談支援専門員さんにたくさん助けていただき、その経験から私も相談支援専門員として困っている子どもや、そのご家族のサポートをしたいと思うようになりました。

私と息子を取り囲む世界は、とても優しくて温かいです。きっと息子が発達障がいと診断されていなかったら、このような素晴らしい経験をすることはなかったと思います。息子が生まれてきてくれた事に感謝しています。でも、ここにたどり着くまでにたくさんしんどい思いをしてきました。不幸だと感じる保護者もきっといると思います。私もそういう時がありました。今後はそのような時期を保護者の方々が乗り越えられるための支援を行っていきたいと思い、『発達障がいの子を育てる保護者支援』を行うため、任意団体を立ち上げようと動いています。支援を行っていくことで、「発達障がいは不幸じゃない」と思えるようになって、前を向いて子育てをしてほしい。そのために、私に出来ることをどんどんやっていきたいと思います。

相談支援専門員・福祉ネイリストゆき
小児科看護師、保育園看護師を経て、現在は児童専門の相談支援専門員として活動中。
小学3年生女児、小学6年生男児の二児の母親。長男は3歳の時に「自閉スペクトラム症・注意欠如多動症」と診断を受ける。不安が強く、不登校になりフリースクールに通っている。息子の担当をしてくれた相談支援専門員さんの影響を受けて、相談支援専門員になる。発達障がいと診断を受けた子を育てる保護者の休息支援をするために福祉ネイルの資格を取得。現在、保護者の支援を目的とした任意団体の立ち上げを行うために動いている。
小児科看護師、保育園看護師を経て、現在は児童専門の相談支援専門員として活動中。
小学3年生女児、小学6年生男児の二児の母親。長男は3歳の時に「自閉スペクトラム症・注意欠如多動症」と診断を受ける。不安が強く、不登校になりフリースクールに通っている。息子の担当をしてくれた相談支援専門員さんの影響を受けて、相談支援専門員になる。発達障がいと診断を受けた子を育てる保護者の休息支援をするために福祉ネイルの資格を取得。現在、保護者の支援を目的とした任意団体の立ち上げを行うために動いている。
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