最近、共生社会が根付いてきたと言われますが本当でしょうか?
差別や偏見が減ってきて共生社会だと言われますが、「何かがおかしい」と感じたので書きます。
私は重度障害者です。昔に比べれば差別や偏見が減ってきた気がします。昔は理解が無いことや障害者を見慣れないことなどが理由で、差別や偏見を受けてきました。これを受ける方が聞き流せば済む時代でした。
誤解の無いように書くと、悪質な差別や偏見に対しては昔から怒っていましたが、理解不足からくる差別や偏見はあえて聞かず、鈍感になる事で差別や偏見を見ないようにしていた気がします。
最近は、差別・偏見・人権に対する考え方はうわべだけ敏感になった気がしています。2023年に世界経済フォーラムが発表した「男女平等度ランキング」で、日本は146カ国中125位でした。依然として政治(女性議員比率)や経済(賃金格差や女性の管理職率)の分野で大きな格差があるとされました。また、2022年に難民として日本の在留を認めた外国人は1962人でした。世界では迫害、紛争、暴力、人権侵害などにより故郷を追われた人の数は1億人以上いるので5桁も違いますね。
さらに、2022年の世界の「政治民主化度国別ランキング」で、日本は208カ国中42位でした。マルタなどの小さな島国の方が、政治民主化度が進んでいるようです。
79年間も平和な時代が続き、共生社会へと導く時間はあったはずなのに、差別・偏見・人権に対する考え方は世界と比べて遅れています。そんな中で共生社会という理想を目指し、これらに敏感になった社会は誰もが暮らしやすい社会でしょうか?
私は、重度障害者で差別や偏見を受ける方が多いですが、昔の方が暮らしやすくて、差別慣れもあったし聞き流せば終わったというか・・・差別に感じなかったです。
私が今の社会で聞き流せずに差別や偏見をまともに受け止めたら、とても苦しいし生き難い世の中だと感じるでしょうね。
電車に乗るときに駅員さんが「車椅子一人乗られます」と言うと差別を感じるらしく、「車椅子の方一人乗られます」と言ってほしいそうです。私は、この話を聞いたとき理解不能でした。別に駅員さんに悪気があるわけでもないのに、「方」の有無で差別と受け取ってしまう障害者にも問題があると思います。
悪意がある差別は感覚で分かるので怒るけれど、それ以外は聞き流す・鈍感になる事で差別と捉えない。これが共生社会をつくる上では重要です。今の共生社会は差別や偏見をしないようにしただけで、差別や偏見を受ける側の心の寛容さはあまり言われません。
これで共に生きる社会なのでしょうか?
私は手足が勝手に動くので、昔は子どもによく真似をされました。嫌でしたが、初めて変わった人を見て子どもが真似をするのは自然なので何も思いませんでした。
でも、最近は真似されることがなくなり、「人権教育の成果」なのか?ひょっとすると「差別になるから変わった人とは関わらないように」という大人の気持ちが子どもに伝わったのか?どちらでしょうか。もし後者であれば、むなしい共生社会ですね。
差別や偏見になる事を恐れて「変わった人とは関わらない」。これが共生社会だと錯覚している人が日本には多くいるのではないでしょうか?
だから、障害者は障害者だけの世界・施設で明るく楽しく暮らせれば、一般社会とのつながりはなくてもいいという考え方や、難民も変わった人は来ないでという人が多くて、社会では受け入れられにくいのだと思います。
この状態で共生社会だと言って、差別はだめだと言っても、人との関わりを減らして「差別が無くなったように見える」だけで、差別の本質は変わらないのではないでしょうか?逆にコミュニケーションが減り、生きづらいのではないでしょうか?
昔、私の真似をした子どもも当時は遊び半分で真似をしたけれど、その後「何で動くのか」考えたはずでしょう。相手の事を深く考える機会が多く、その中で私も鈍感力が身に付いたけれど、今は差別を意識するため、真のコミュニケーションができず、関係性ができるまでは難しいです。だから、生きづらい社会なのではないでしょうか?
本当の共生社会は弱い立場の人も強い立場の人も、お互いが深く理解し合うことから始まります。日本は差別や偏見を無くすため「不干渉な社会」になってしまったので、今後は相手の事を理解しようとする気持ちが社会を変えると思います。
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