技能実習制度がなくなりますね。時に現代の奴隷制度と言われました。また、女性の技能実習生が出産した胎児を遺棄した、と痛ましい報道もありました。あらゆる立場の人から批判され、でも確かに日本社会を底支えしていたのが技能実習制度です。その技能実習制度の何が問題だったのかを改めて解説いたします。解説をするのはビザ手続きの専門家の行政書士の板垣岳人です。岡山市で行政書士をしております。
この度の記事では3つの項目に分けて解説致します。
1. 必ず帰国しなければならなかった(けどしなくてもよくなったね)
2. ただでさえ(外国人に)無い職業の選択の自由が更に無い!
3. 家族を日本に呼べない
これら3つは技能実習生にとっての大きな負担としてのしかかっています。さて、技能実習制度が無くなって果たしてこの問題はどうなるのでしょうか?解決するのか、はたまた全く解決しないのか。要チェックです。
必ず帰国しなければならなかった(けどしなくてもよくなったね)
ここから1つ目のことについて解説いたします。
技能実習生は3年ないしは1年で終わり、帰国することが制度上定められています。帰国ということは、退職しますし、会社の寮も出ますし、住民票も日本からなくなります。更にいうと、年金や健康保険からも脱退です。
なぜ必ず帰国をさせるのか。建前の理由は日本の高度な技術を母国に移転するためです。技能実習を英語でいうと" Technical Intern Training "です。こう書くとかっこいいですね。テクニカルインターントレーニング……こう聞くと技術を学ぶという印象で「出稼ぎ労働」という印象はありません。
続いて、必ず帰国をさせる本音の理由です。本音は「外国人労働者の日本への定住を防ぐ」でしょう。大っぴらに書くと倫理的に問題があり、ためらってしまうでしょうが、本音はこれです。そんな理由じゃない!とおっしゃる人もいるでしょう。しかし、政府の方針はこの通りです。というのも、永住許可の要件に話は飛びます。永住の許可の要件には「10年間の日本への定住」があります。しかし、技能実習はこの10年間には入りません。わざわざ技能実習が対象外とされています。「技能実習生には日本に定住をしないで欲しい」という方針の具体化です。
さて、タイトルの(けどしなくてもよくなったね)とは、「どういうことだ、いい加減説明しろ」と思われているでしょう。大変長らくお待たせいたしました。ご説明いたします。2019年にスタートした『特定技能』という在留資格が原因です。『特定技能』は技能実習が無くなった後に、外国人雇用の中核を担う制度ですね。亡くなった安倍元首相の肝いりで法制度化されました。『特定技能』の説明はこの辺りで終わりにします。とにかく、『特定技能』の登場で『技能実習』の一時帰国が必須ではなくなりました。『技能実習』を終えた後に『特定技能』に在留資格を切り替えることで、そのまま連続的に日本での滞在を続けることができます。
しかし、技能実習終了後の帰国義務と2019年に始まった特定技能の制度とは互いに矛盾をしている部分があります。それは、「技術移転を目的とする技能実習」と、「人手不足解消を目的とする特定技能」です。ですから、技能実習を終えてから特定技能へ移行する際に限ってのみ帰国義務が無くなる、という複雑な制度になっているのです。立法の目的が異なる2つの制度を1つの連続する制度にまとめた結果の矛盾です。なお、前述の通り、「技術移転を目的とする」というのは今となっては、建前となってしまっています。私は、この複雑な制度がシンプルなものになることを育成就労新法に望みます。
まとめです。帰国は、技能実習生本人にとっては負担です。「日本で長く働きたい」という希望は、技能実習終了後の帰国義務により、数年前まで叶いませんでした。
今では、本人の希望次第で帰国は必須ではなくなりました。しかし、頻繁に法制度が変化します。技能実習生にとって変わっていく法制度の理解を深めることは困難です。日本人にとっては、文字通り他人事ですが、実習生本人には負担としてのしかかっているんですね。
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