日本は労働力不足に直面しており、外国人労働者を受け入れる必要性が高まっている。その中、他国の経験を参考にし、その受け入れにおいてのリスクも把握する必要がある。アメリカを始めとする西側諸国で主流となりつつある反移民思想は、経済資源の分配への懸念を訴える極右政党の台頭及び大規模な社会的及び政治的な衝突に至る源になっている。
その中、中東地域の中心都市となりつつあるドバイは、直接経済に貢献できる高度人材の確保を優先する独自の移民政策を通じて、経済成長を達成し、国際的なハブとしての地位を確立してきた。ドバイモデルは、いわゆる「無駄」な移民流入を制御している。このモデルの最大の利点は、経済の成長と多様性を実現することと、外国人労働者の雇用と定住の促進をはっきりと結びつけていることだと言える。その観点では、労働ビザ制度が重要な役割を果たしている。ドバイでは、外国人労働者を雇用する企業は、労働ビザを申請し、審査を受ける必要がある。すべての外国人労働者は臨時労働ビザを保有し、ほとんどの人は永住権や市民権を獲得する権利がない。しかし、逆にいうと、継続に経済的に貢献できる者は、ドバイでの生活や仕事に安定感を持ちながら、長期的な定住が可能とさせている。
このようなバランスにより、ドバイでは経済成長と多様性の促進の実現に貢献できる外国人労働者や投資家のみが集まり、文化的な衝突を最小限にした上で国際的な人材と有意義なアイデアの交流が盛んに行われている。このような独自な人材確保へのアプローチは日本をはじめとする人手不足に悩む世界各国が検討する一つの選択肢ではある。移民の人口割合が90%以上を維持するドバイでは、ごく僅かな市民権を持つドバイ人らは、大量な移民の受け入れを条件として経済的な豊かさを手に入れた。
ドバイモデルは少子化、高齢化に直面する日本でも実行できるか? その可能性を探るためにはドバイが直面する社会的な課題を認識し、解決する必要がある。特に、移民政策の実施において、ドバイモデルは2つの点で日本の参考となる。
一点目は外国人労働者の人権についてである。外国人労働者に対する搾取がドバイモデルの批判として頻繁に現れるのは政策が「不平等」を根本的な思想としているからだ。過去の研究では、労働者の保護対策や福利厚生において、市民権保有者や高度人材はブルーカラー労働者に決定的な差をつけていることが発覚している。この差が継続する限り、ドバイモデルが多くの外国人労働者の労働環境を改善し、人権を守るのは困難だと言える。
日本も、外国人労働者が適切な労働条件と社会保障を享受できる環境を整備することが重要である。ドバイは外国人労働者らの福利厚生を最低限にすることによって、市民権保有者の社会優越感を保ち、医療を始めとする社会的資源の不十分さに関する懸念を抑えることができた。しかし、このような移民において社会的、経済的なコストを削減する手法は人権問題になり、国際社会の批判につながった。ドバイと違い、民主主義とリベラリズムを政治体制の基盤としている日本では労働力の確保における効率よりも移民一人ひとりの労働環境水準に注目する必要がある。
二点目は市民権保有者と外国人の人間関係である。ドバイは異なる文化や宗教を持つ人々を受け入れながら成長し、数十年に渡って多文化の都市に生まれ変わった。しかし、経済的及び文化的な格差が市民権の有無を基に広がっている。ドバイは政策として市民権保有者のみに安い土地、無償の教育や高収入の公務員の仕事などの福利厚生を与えている。この福利厚生の差は外国人労働者の搾取と社会地位の低下として表れている。この格差は同時にこの外国人らと市民権保有者の社会融合を妨害する力ともなっている。
ドバイのような外国人の搾取と社会的な孤立は日本でも指摘されている。日本の研修生制度は制度によって受け入れているブルーカラー労働者の搾取を防止する要項を記載しているが、法的な保護及び待遇や労働環境において日本人労働者との格差は存在している。同時に、外国人労働者が多く在住する居住地域の形成により、日本でも外国人労働者の孤立が現れつつある。ドバイにおいて労働者の人権問題が取り上げられるのは大規模な外国人コミュニティーにおいてであるため、日本でも外国人の増加により似たような問題が出現する可能性は警戒が必要になる。
確かに、ドバイモデルでは外国人労働者の格差問題も今でも存在する。しかし、政府や民間関係者の協力を得ながら、法的な改革、物流の整備、教育と社会支援の強化を進めることで、日本はドバイモデルのその短所を克服し、国際的な社会の発展と経済成長を実現することができるだろう。結果として、外国人労働者の受け入れに伴い、異なる文化を受け入れる柔軟性が生まれ、多様性を受け入れつつ社会的な安定と発展を達成するための道筋を提供してくれる。したがって、日本政府はドバイモデルを研究し、国内の労働力不足と経済の活性化に向けた施策の一環として積極的に検討すべきである。
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