鉄道の輸送能力は特に大型連休で発揮されている。都市部の人々として、農村部の実家に戻るには、利便性、価格および身近さの観点から見ると、鉄道は長距離交通手段の中で最適な選択肢として考えられる。
そして、今後、鉄道はアジアにおいてさらに重要性が増すだろう。これまで鉄道が利用できなかった人々や地域でも鉄道ができ、鉄道の旅は身近なものになると予測される。2021年末には、ベトナム初めての都市鉄道がハノイで完成し、ラオスでも初めての国際列車が中国と結ばられた。今年はフィリピン・マニラ近辺で新たに通勤列車の開設が予定され、インドネシアも国内初の高速鉄道が運営される。バンコクも1世紀に渡って使用された駅が閉鎖され、新路線の開設に向けて新駅を準備している。これらの新しい駅、路線はより多くの人々が鉄道を使うきっかけになるだろう。
過去には大都市の比較的に裕福な住民しか味わえなかった鉄道の旅が、アジアに住む大多数の人々が気軽に使える交通手段となる日は、もう遠い未来の話ではなくなっている。このような状況の中で、日本はどのような役割を果たすことができるのだろうか?
日本は、長年にわたり鉄道技術の開発と運用で世界をリードしてきた。新幹線のような高速鉄道技術はもちろん、都市間を結ぶ効率的な鉄道ネットワークの構築、安全で快適な旅客サービスの提供など、日本の鉄道は多くの点で模範となっている。特に、日本の新幹線は1964年開業以来、未だにゼロ事故死者数を維持している。2007年に開業した台湾高速鉄道、そして2015年に建設が開始されてインド高速鉄道ムンバイ・アーメダバード線は共に日本の新幹線基準を採用し、日本の鉄道技術がアジアでも通用することを証明している。しかし、建設速度やコストで優位性を持つ欧州や中国の競合他社が台頭する中、日本国内市場の67倍に当たる世界鉄道市場での存在感は消して高くない。
その存在感を高めるには、技術提供を中心とするより直接な国際協力関係を結ぶ必要がある。アジア諸国の鉄道インフラの発展において、日本は技術提供や運営ノウハウの共有、さらには共同開発プロジェクトを通じて貢献することができる。特に、環境に優しい輸送手段としての鉄道の重要性が高まる中、日本のエコフレンドリーな鉄道技術や省エネルギー運用の知識は、アジア諸国にとって貴重な資源となる。例として、日本技術を採用しているベトナム・ホーチミン都市鉄道1号線(2020年開業予定)及びタイ・バンコクMRTブルーライン(2004年開業)は、年々増加するバイクや自動車の排気ガスに苦しむ両市にとって、大気汚染を削減させる有力手段になっている。日本の協力により、アジア各国の鉄道は環境負荷を低減し、持続可能な発展を遂げることが可能になる。
さらに、日本はアジア各国との間で鉄道を通じた経済的結びつきを強化することもできる。日本の鉄道会社や企業が地域間の物流、旅行、観光を促進するプロジェクトに参加することで、相互の経済発展に寄与し、さらなる経済的繋がりを築くことが期待される。特に、私鉄各社は鉄道以外の強みを活かし、海外各国での業務提携を進めている。小田急は、2020年コロナ禍で変わる小売業界の現状を把握し、百貨店事業を中国ウィーチャット、東南アジアQoo10及び米国イーベイで越境ECとして展開している。一方、近鉄は物流のノウハウを国際事業中心の近鉄エクスプレスを今年完全子会社することによって、より急速に成長させている。鉄道を皮切りにアジアを始めとする、総合的な海外事業展開はこれからも期待できる。
最後に、日本は、鉄道安全管理や災害対応の分野での経験と知識を共有することにより、アジア各国の鉄道システムの安全性向上に貢献することができる。地震や台風などの自然災害が頻発するアジア地域では、日本の災害対応技術やシステムは非常に有効であり、多くの国々での安全な鉄道運行に寄与することができるだろう。特に、鉄道で利用される早期地震防災システムや防災情報システムは日本だけではなく、アジア各国でも活用できる。インドネシアやフィリピンが自然災害で日本政府から支援を受けているここ2年間、このようなシステムも支援の一部として導入を進めることができる。
これらの取り組みを通じて、日本はアジア各国の鉄道システムの発展を支え、地域全体の交通インフラの向上に貢献することができる。これは、経済的な利益だけでなく、文化的交流の促進や地域の結束を深める機会となるだろう。
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