イエスタ・エスピン=アンデルセンは、デンマークの社会学者であり、資本主義社会を3つのタイプに分類した。
保守主義、新自由主義、社会民主主義の3つである。
保守主義は、コーポラティズム(またはコミュニティ主義)でもあり、伝統と社会の連帯を重視する。伝統を重視することは、急な社会制度の変化を望まないことである。
新自由主義は、個人の自立を目指し、個人の自由を第一とする。そして、政府の役割は限定的なものとする。どちらかと言うと、企業家に受け入れられ易い考え方である。
社会民主主義は、個人単位の社会を目指す点は新自由主義と同じであるが、国家の関与を社会保障に多く求め、自由よりも平等に力点を置く考え方である。
この3つの分類は、中間形もあるが、特に近年最も政治的に重要である、社会保障の形態(日本の社会保障費は、使える国家予算の半分以上)を示している。さらに、この3つの分類がお互いに対立する関係も考えられる。
第一型;「保守主義と新自由主義」が社会民主主義に対立する関係
第一型は、古くから続いている右対左の対立だ。マスコミではいまだに、この様な左右の関係で政治が語られることが多いが、現在では、この様な左右の対立は、あまり意味がなくなっている。日本では、天皇制や領土の問題でのみこの対立図式は現れる。
第二型;「保守主義と社会民主主義」が新自由主義と対立する関係
第二型だが、保守主義と社会民主主義は古い政治的感覚からは、水と油のように、正反対の主張に見えるが、妙に一致して、新自由主義に対立する構図も現れる。この対立は、小さな政府と大きな政府の対立になる。一般に保守主義は、小さな政府側に付きそうであるが(例えばアメリカのティーパーティ運動など)、本質的に保守主義は、コミュニティ重視なので、コミュニティの連帯を重視するようになり(例えば日本のマスコミ論調など)、大きな政府志向になるのだ。社会民主主義は、その建前から言って、もともと大きな政府を志向する。これに対して、新自由主義は、個人の自立に価値を置くために、個人の自由を優先し、政府の干渉を嫌って、小さな政府を求めるようになる。
第三型;「新自由主義と社会民主主義」が保守主義と対立する関係
第三型は、新自由主義と社会民主主義が、保守主義に対峙する図式である。この場合の論点は、個別主義(個人主義)対集団主義(コミュニティ主義)となる。
現代では、この対立が最も重要だ。果たして社会は個人の集合体なのか、あるいは、一定の集団が社会を作るのか、基本的な問題である。日本で問題となっている対立軸(表面的でなく2項対立である場合)は、ほとんどがこの対立軸になる。
高齢者の問題も、この様な考えの相違が大きい。例えば、高齢者の自立を尊重すると、孤独を恐れず、自己決定を尊重する方法となる。コミュニティ重視の場合、一定の集団を基礎単位とするために、孤立を避け、社会の習慣を尊重するようなケアの方法を取るようになる。この考え方で、新自由主義と社会民主主義が一致するのが、北欧などの政治形態である。
日本の政治形態は、自由民主党が保守主義、民進党が社会民主主義と分類されそうだが、内部はそうではなく、自由民主党の中にも新自由主義的考えがあるし(小泉内閣など)、民進党の中にも同様の新自由主義的考えの人も多い。
また、保守主義的考えもある。政治は、政治環境によって、その都度本来の主義とは異なる政策を採用する場合もあるが、政党としてのアイデンティティは、3つの福祉資本主義によって表される考えの基に政党が作られると、政策を判別しやすいのではないか。
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