嫌な奴はどこにでもいる。例えば家族旅行の途中で嫌な思いをしたときに、「そもそも私はこの旅行に行きたくはなかった」と言うのはきっと嫌な奴だろう。チェーン展開している小売店の1つで業績が悪くなると、「そもそもこの場所に出店しなければよかったんだ」と言う人がいたらその人の印象は下がるだろう。この様に、「そもそも論」は日常的会話ではあまりするべきではないし、もし誰かが口走ったら仲間はずれになるに違いない。
しかし長期的問題や国家的問題については、「そもそも論」が非常に大切だ。例えば、自衛隊が合憲か違憲かについて憲法を素直に読むと、違憲であることは明らかであるが、過去色々の「解釈」によって合憲か違憲かが曖昧になっている。「そもそも論」からは、「現状維持」をするなら(自衛隊を維持するなら)、その根拠である憲法をもっと分かりやすく書き直す必要(つまり憲法改正が必要)がある事がわかる。書き直すとそれだけで軍事大国になるかもしれないと心配する必要はない。移民の受け入れも同様で、外国国籍の人が1年以上滞在すると「移民」と呼ぶことが国際的常識ならば、「そもそも論」からは、現在の外国人労働者を移民と呼ぶことは当然であり、移民を受け入れないとの政府見解は、変えないといけないだろう。しかし、国民の反発を恐れるためか、あるいは日本民族の純血性を保つためか、政府は移民の受け入れ表明が出来ない。この様な大きな問題では、その場限りの対策でなく、「そもそも論」を議論して、理解をより深める必要がある。
軍備をどのようにするか、経済システムをどのようにするか、あるいは、労働問題をどうするかなどの点については、目の前のことを議論するよりも、「そもそも論」を議論する方がまともだ。今回のウクライナ問題を受けて、「日本の防衛費は少なすぎる。せめて今の2倍は必要だ」と言っている人がいるとすれば、それは、火事場泥棒的な言い草である。例えばウクライナから台湾を連想して、だから日本も国防費を上げないといけないと言う議論に対して、「そもそも」日本を守ると言う事はどういうことなのかなどの議論、例えば、国を守るために、場合によると自衛隊員あるいは自身の「死」を受け入れる気があるかどうか、あるいは、死につながる戦争はどの様な場合でもいやなので、あくまでも外交で解決すべきであること(そうなると実際の戦闘力より、見せかけの軍備力が大切となる)、などの考えを喚起することは非常に有効だ。つまり目の前のことについて議論するよりも、重要な問題については「そもそも論」の方が役に立つからである。その理由は日本が重要な決定に対して、議論を避けその決定を先送りして、あいまいな状態を続けているからである。
格差が広がっていることについてどのように解決方法があるかに関する議論で、企業に賃上げを促す方法は非常に短絡的な政策である。それに対して「そもそも格差はなぜ生じているのか」と言う事の議論の方がより有効だ。時間がかかるかもしれないが、まともに行なわれていない現状を変える効果はある。格差は資本主義の世界では「必然的」に生じるものなのか、あるいは「市場」である程度食い止めることが出来るのかについても、曖昧にしないで議論する必要がある。
日常的な出来事は、あまり理屈なしに生じるし、自然に解消されることも多いので、日常的に起こることに対して、いちいち理屈をつけるとややこしくなり、「そもそも論」は避けるほうが、人間関係維持のためには得策だ。しかし、根本的な考えについては、「そもそも論」は議論を行う上で重要になる。議論を避けて聞こえの良い解決策だけを述べると、先行き行き詰まることは明らかだからである。
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