吹奏楽禁止に見る「やってる感だけ」非科学的ナンセンスなコロナ施策を止めよう

コロナ下で3年目の春の甲子園、選抜高校野球大会が終わりました。特にクラスター発生という話も無く、シニアポピュリズム的政治施策による規制自粛で奪われていた若者たちの当たり前の青春が、ようやく戻ってきた感があります。

その甲子園では新型コロナ以来「飛沫が飛ぶから」と禁止されていた吹奏楽(ブラスバンド)による応援も再開されました。しかし「ブラスバンド=管楽器を制限」すること自体が、まさに新型コロナ施策のナンセンスの典型です。

筆者はブラスバンド経験者ですが、管楽器は「空気を噴出して音を出すのでは、ない」。わずかな息により空気の振動を起こし、楽器の管内の「気柱」を振動共鳴させて音を出すのです。つまり吹いた息がそのまま「噴出」するのでは「ない」。もし吹いた息がそのまま噴出する(ことが鳴らすために必要)としたら、体ほどもある巨大なチューバを鳴らせるはずがありません。小柄な女子でもチューバを吹けるのは「空気の振動を与えるだけで良い」からです。

管楽器は高音域が多く管が短い木管楽器でも多くは50cm以上、低音域が多い金管楽器だと最大のチューバは管の長さは10m近くにもなります。管楽器を吹いていると管内に水滴が発生し流れて溜まりますが、これは飛沫と言うよりは呼気に含まれる水蒸気が冷却され結露したものです。吹いた息には飛沫が含まれるので、もし奏者が感染者であればウイルス等が含まれる可能性はありますが、その場合も咳やくしゃみ等のように数mも飛散することは、「結露し流れ溜まる」構造のため考えにくいのです。

このことは我が国最大の楽器メーカーの一つであるヤマハが実験で実証しています。さらに言うとヤマハの実験は「飛沫、粒子が多少は発生する」ことを示してはいますが、それが「ウイルスを含む感染性粒子」がどうかまでは実証していません。

木管楽器は通常下向き・胸より下に開口しているため、感染リスクが高い目鼻口に飛沫が飛ぶことは考えにくく、金管楽器はその長さと屈曲のためほとんどが結露しドレーンとして処理できると考えられます。したがって「咳やくしゃみ、マスクなしでのカラオケや大声での会話」に比して飛沫飛散は少ない、発生するとしても感染性が実質無い「結露水」と考えられます。

このように管楽器が「鳴る原理」と飛沫や呼気がどうなるかを科学的に正しく理解すれば、「飛沫を噴出しまき散らして感染させる」ことは考えにくいことが分かります。むしろ大声で応援せずブラスバンドや鳴り物で盛り上げる方が安全です。それを禁止など、飲食店ばかり狙い撃ち自粛と同様の「やってる感」だけ、何の意味も無く非科学的です。

度々繰り返してきた「まん防」は盲目的に飲食店を締め上げるだけ、しかし潜伏期(数日)を考えればまん防開始から二週間もあれば感染者は激減するはずが、無関係でした。オミクロン株第6波は第1波と違い学校保育園や企業、そして引き続き介護施設がクラスターの大半です。一割以下の飲食をシメても、狙いが外れているので感染抑止できるわけがありません。飲食店自粛も非科学的ナンセンスです。

さらに言うならば、新型コロナ死亡者のほとんどが70代以上の高齢者すなわち「他の理由でも亡くなったかも知れない天寿と言える人」です。新型コロナは肺炎等で死亡しますが、肺炎は我が国死因の5位前後、年間12万人が死亡しますが、新型コロナは年間1万人に過ぎません。逆にインフルエンザが激減したので「入れ替わっただけ」とも言えます。

若い健康な人がほとんどの甲子園あるいは学校やイベントで万一感染者からクラスターが発生したとしても、ハイリスク者である基礎疾患がある中高年高齢者が居なければ・接触しなければ数日で皆回復します。老若男女が入り混じることは危険と分かっていますが、属性がある程度同じ「特定多数の健康現役世代」であれば大事に至らない、それを前提にメリハリある施策を考えて然るべきです。

新型コロナ上陸直後の2020年4月には早くも、新型コロナウイルスが血管内皮細胞に取り付き血管障害を起こす、すなわち動脈硬化している人や基礎疾患がある中高年高齢者が危険という手がかりが、世界的医学専門誌ランセットに報告されていました。この時点で冷静に科学的検討を行えば、ハイリスクな高齢者の予防隔離(逆隔離)的な対策を中心として、社会経済への影響をできるだけ避ける施策ができたはずです。

しかし「専門家」はそれぞれの立場の「自説」で煽り、メディアも煽り立てるばかり、挙句、尾身氏のJCHOは300億円以上のコロナ補助金で「患者を大して受け入れずに濡れ手で粟の大儲け」まで起こり「三だけ主義、今だけ金だけ自分だけ」それが我が国のコロナ施策の実態、惨状でした。

すでにオミクロン変異株、第7波と煽る動きも見え隠れします。一方で横浜市のように安直な一律休校を避ける施策の開始や大阪のようにハイリスクな高齢者の自粛を呼びかける等、2年余の知見を活かそうという理性的施策の動きも出てきました。4月9日の日本経済新聞社説でも「ハイリスク者防護を中心に社会経済活動を維持する施策を」と論じており、ようやく筆者が主張してきたことが社会の理解を得つつあるように感じられます。

感染症対策では「感染症対策は、その集団・組織の中で一番レベルが低い者のレベルとなる」という言葉があります。我が国は国際的にみて新型コロナ死者が非常に少ないにも関わらず、経済と生活は甚大な影響を受け、自殺者の超過死亡も認められています。もはやこれ以上の「人災」は許されません。

一方で「公衆浴場にマスクで入っていた人が居た」話を聞いたり、自家用車の中でマスクをしている人も見かけます。飲食店は都内では6割が自粛を取りやめ通常営業に戻ったという報道もありました。独身なので飲食店で毎日外食する筆者ですが、感染していません。米国では3月中にマスク義務が全州で解除されています。

言われるがままに必要無い場面でまでマスクをしたり、不合理的非科学的なことにまでソンタクして従うのではなく、一人一人が良く考え適切な感染対策をすることこそ、新型コロナ、さらには今後も現れる感染症に打ち克つ方策です。

<参照>
センバツ高校野球 3年ぶりアルプス席でのブラスバンド応援可能に(センバツLIVE!)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0606fbee9e436500d9cd116fb4d695abaac29a6d
選抜高校野球、ブラスバンドの生応援OKに 昨春は録音音源を使用:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ326S7BQ32PTQP001.html
「演奏中に飛沫拡散の可能性」センバツのブラバン応援禁止…コロナ陽性が出た場合は検討中【高校野球】:中日スポーツ・東京中日スポーツ
https://www.chunichi.co.jp/article/204486
ヤマハ | 管楽器・教育楽器の飛沫可視化実験
https://jp.yamaha.com/products/contents/winds/visualization_experiment/index.html
楽器ってどうして音が出るの? 札幌市青少年科学館
https://www.ssc.slp.or.jp/faq/science-qa-box/qabox-physics/800.html
管楽器の音を調べる ~気柱の共鳴~
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/butsurikiso/archive/resume029.html
新型コロナウイルスに対する消毒薬の効果を検証 日常生活におけるSARS-CoV-2感染予防に有用な製品を評価
https://www.kitasato.ac.jp/jp/news/20200901-01.html
高齢者の重症化原因? 新型コロナは全身の血管に感染することが判明
https://nazology.net/archives/57616
Endothelial cell infection and endotheliitis in COVID-19
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2820%2930937-5/fulltext
【独自】コロナ病床30~50%に空き、尾身茂氏が理事長の公的病院 132億円の補助金「ぼったくり」
https://dot.asahi.com/dot/2021083100080.html
横浜市、休校を避ける新基準 共働き世帯に配慮: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC04A9P0U2A200C2000000
高齢者の外出自粛を要請、大阪府 患者急増を受け
https://www.47news.jp/7431955.html
米、人口の9割超がマスク着用不要に=CDC(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/idJPKCN2L1052
米50州でマスク義務終了へ 最後のハワイ州が発表―新型コロナ:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022031000445
新型コロナ: 都内個人飲食店、6割時短応じず 要請長期化で離反 : 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC024XE0S1A900C2000000

新西横浜街の医療ケア研究室 保健師・看護師・元先端バイオ創薬ベンチャー取締役五十嵐 直敬
1995年北里大学看護学部卒。
北里大学東病院、内科クリニックを経て1999年横浜市内で訪問看護ステーション新設、所長。難病ケア、リハビリ、在宅ホスピスに携わり介護保険制度発足時に横浜市介護認定審査委員。2000年に遺伝子治療の可能性を探求し先端バイオ創薬ベンチャー取締役。
その後救急病院、訪問看護所長、介護施設長等を経て外来看護の傍ら2017年より新西横浜街の医療ケア研究室としてコンサル等活動。
1995年北里大学看護学部卒。
北里大学東病院、内科クリニックを経て1999年横浜市内で訪問看護ステーション新設、所長。難病ケア、リハビリ、在宅ホスピスに携わり介護保険制度発足時に横浜市介護認定審査委員。2000年に遺伝子治療の可能性を探求し先端バイオ創薬ベンチャー取締役。
その後救急病院、訪問看護所長、介護施設長等を経て外来看護の傍ら2017年より新西横浜街の医療ケア研究室としてコンサル等活動。
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