ロシアがウクライナに不当に侵攻しているのは、ロシアの政治体制と大きな関係があります。ロシアは、表面的な制度では民主主義の体裁をとっていますが、実質は批判者を弾圧し、批判的なメディアを排除するなど、強権的、独裁的な体制を取っていることは周知の事実です。これに対して、まだ歴史は浅いながらも、ウクライナは民主主義国です。
民主主義は脆弱です。その場その場の、問題に対応する体制としては最善のものではないかも知れません。多くの知識人は民主主義の弱点を以下のように述べています。
「民主主義とは、腐敗した少数派の任命に対して、無能な多数派の選挙で置き換えたものである」-バーナード・ショー
「資本主義社会の民主主義は、絶えず資本主義的搾取の狭い枠内で締め付けられているので、事実上はつねに少数者のため、有産階級だけのため、金持ちだけのためである」-ウラジーミル・レーニン
しかし、一方でウインストン・チャーチルが1947年イギリス下院での演説で述べたことが民主主義の本質を突いているでしょう。
「これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、またこれからも過ちと悲哀にみちたこの世界中で試みられていくだろう。民主主義が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」
つまり、民主主義は最善の方法とはとても言えないが、歴史上、民主主義を超える政治形態はなかった、と言うのです。
民主主義は効率が悪く、容易に衆愚政治や独裁国家に変わる可能性が高く、かつ、独裁的な国からの攻撃に極めて弱いのです。しかし、民衆が全体的に幸せになる方法は、いまのところ、民主主義以外には無いようです。民主主義は、少しでも大衆に阿ると「衆愚政治」となり、ポピュリストの餌食になるし、少し偏ると、「独裁政治」となります。
民主主義の要諦は次のようなものでしょう。幸せを得ようとすれば、代償が伴います。少ない確率ですが、幸運に恵まれた、少数の人はこの法則を免れるからと言って、この法則が無効であるとは決して言えません。一般的に欲求を満足するためには、我慢が必要なことは、幼い子供以外は誰でも理解できるはずです。ポピュリズムは子供に対する姿勢と同じようなもので、ポピュリズム社会は、欲求が通らなければ不満を述べ責任を放棄するのです。民主主義を実現するためには、国民の成熟度が試されます。民主主義は急には成立しません。長い年月、つまり、国民は相互に欲求を通すために、犠牲や我慢を容認する心が必要なことを理解すべきでしょう。
今回のウクライナに対する攻撃に対応し、軍事でなく、経済で対応する場合は、各民主主義国には、経済的な面での負担や損失が生じることになるでしょう。私達が軍事的に支援できないとすれば、ウクライナを支持する方法として、デモに参加する、SNSに投稿するなどがありますが、その他に出来ることの中には、資源の禁輸による石油あるいはその他の資源高を許容することも含まれます。低所得者や生活困窮者には当然ながら、援助をしなければなりません。ただ、家計への影響はあるかもしれませんが、平均的な生活を送る多くの国民が、民主主義を守り、ウクライナを支援するとすれば、経済的な負担を共有する必要があるでしょう。これが民主主義の要点でもあるのです。
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