新型コロナウイルスの感染拡大で不安が続く中、幸運にも第一子を授かることになりました。そもそも子ども好きで学生の時に最初にはじめたNPOも子どもに関する活動だった僕としては、なんとか子育てに時間を使いたい。しかし、経営責任のある代表をNPO法人2法人、株式会社1社、一般社団法人1社で務めている(それ以外にも役員はいくつも)以上、何もしないでは組織が止まり、働く人たちに迷惑をかけてしまう。そこで考えたのが「ハイブリッド育休」です。
コロナ感染拡大への対応のためにセミナーや会議が「オンライン開催」になる中で、感染防止に配慮した少人数の会場参加とオンライン参加を両方可能にして開催することを「ハイブリッド開催」と呼ぶのを援用して「自宅で育児をしながらオンラインで出来る仕事はする」ことを「ハイブリッド育休」と名付け、代表を務める各組織の役員と職員の皆さんに理解をいただき、子どもが誕生した昨年9月14日~10月31日までの間、実験的に取り組ませていただきました。
まずはハイブリッド育休での典型的な一日を振り返ってみます。
朝、子どものぐずり声で起床。オムツを替え、産後で身体がまだ動かせない妻にバトンタッチして授乳してもらう。その間に日中のオムツ替えセットを準備し、顔を洗って、朝食づくり。朝食ができたらスマホで社内用のチャットツール(弊社はチャットワークを使ってます)をチェック。確認や決裁が必要な物に目を通して回答している間に妻が授乳が終わり、子どもをバトンタッチして、オムツチェック。替えた後に、食卓横のクーファンに寝かせ、顔を洗った妻と朝食。早々と朝食を食べつつ職員の皆さんが出社して増えていくチャットに対応。食後は産褥期の妻には寝てもらい、洗い物をして、洗濯機を回して一段落したら膝に抱っこしながらパソコン(ブルーライトカットのフィルター貼りました)を開き、書類やメールをチェック。膝の子どもの顔に癒されながらしばし作業していると、洗濯終了の音。膝からだっこ紐にチェンジしてから洗濯物を干して再びPC前に戻り、今度はオンライン会議。だっこ紐で眠る子どもが映ると会議が和むのも、いいところ。オンライン初対面の人ともよいアイスブレイクです。会議後にはちょうど授乳の時間。妻にお任せして、キッチンで昼食づくり。だっこしつつの昼食後は、親子三人でしばしゴロゴロタイム。保湿したり、マッサージしたりのスキンシップ。
その後は子どもが寝てるうちに買い物へ。かごを片手にスマホをチェック。時には電話も。帰宅後は再びオンライン会議。その前に子どもが起きたらオムツを替えて再び膝へ。会議は終わったけど子どもが熟睡。。という時は、そのまま動かずサブスクでドキュメンタリや映画でインプットを。起きたら、オムツ替えて授乳をお願いし、夕食づくりへ。合間にスマホをチェックしながら鍋をふって完成。夕食を食べ…終わる前に泣きでオムツを替え、残りの食事をかきこんで沐浴のセット。子どもの沐浴~妻と交代で入浴をすませ、身体を拭いて保湿して、妻が授乳したら子どもはひとまず就寝。それを横目にスマホをチェックしつつ布団で寝落ち…が2時間後に泣きでオムツ~授乳を繰り返して朝に。という感じでした。
元々、チャットによる社内連絡やデータの共有、メール同報などの体制を作っていたこと、さらにコロナで在宅勤務をしていたこともあり、大きな違和感なく進めることができました。
新生児の子育てに付きものの2時間おきの起床による睡眠不足、慣れていない子育てへの不安に加えてのコロナ感染の不安が重なる中で、オンラインで仕事ができることや最低限の決裁や連絡をすることで職員の皆さんに大きな迷惑を掛けずにすむということは、ストレスを軽減し気持ちの安定にもなりました。
11月に復帰をしてから職員の皆さんに対して匿名回答でのアンケートを実施しました。
「今回のハイブリッド育休で業務にどの程度、支障がありましたか?」という問いには「ほとんどなかった」が約53%、「なかった」が約31%で計8割を超え、職員さん側にも業務上の支障は小さかったことが伺えます。むしろ「私としては、逆に決裁が早く、この点はこのままでの良いかと思います。」という声や「担当者の自立を促すよいきっかけになったのではないかと思います。」「ほんとうに困ったことがあれば連絡はしたと思いますが、担当職員間や上長との共有や相談でこの期間は過ごすことができました。」という声もあり、よりチームワークが強化されたという良い面があったようです。
一方、「特にどのような点に支障がありましたか?」という問いでは「相談」が約56%と最も高く、また「もっとこの対応はしていいのではないかと思ったものがあれば教えてください」という問いでも「オンライン相談(内部)」が約67%と最も高い回答となりました。個々の職員さんがハイブリッド育休中でも相談しやすいように、上司にあたる人がハイブリッド育休を取得する際には一定の周期で相談可能時間を確保するなどの工夫も必要なのかもしれません。
最後に、「あなた自身が育休をする際にはハイブリッド育休として取得したいですか?」の問いには「取得したい」と「普通の育休を取得したい」がいずれも25%と割れました。「まったく仕事から離れるのも不安があるため、どちらかと言えば自分のために最低限の仕事との接点を残すという選択肢があるのはありがたいと感じました。」や「今でもそうですが、子どもの世話を一番にしたいので」という声がそれぞれの意見を象徴しています。また「男性側のハイブリッド育休(もちろんそれに臨む姿勢)が整ってからでないと、女性のハイブリッド育休はイメージがしづらいです。」という声もありました。
最後の声に象徴されるようにハイブリッド育休は男性側の育休の選択肢としては一手になるなと感じました。在宅勤務が当たり前化する中では僕のように管理職の人でも職場内の理解は得やすいのではないでしょうか。一方、「ハイブリット育休をとる/とらない ことへのパートナーの協力や理解も得たい。」という声もあり、職場の前にパートナーと相談して決めることが前提だと思います。
今回のハイブリッド育休取得を通じて、ワンオペ子育ての大変さを痛感しました。特に出産をした母親は体調の変化、身体へのダメージも大きく、産褥期は家事どころか抱っこやオムツ替えも身体負担が大きいし、そこで無理をすることは将来にリスクを伴うと思います。このハイブリッド育休が、仕事が忙しい人にとっての選択肢の一つとなり、1人でも多くの人が育休を取得できるようになればよいなと思います。
またあわせて、もっと男性が子どものことや子育てのことを社内や友人と話すなど、親バカをひけらかすのが当たり前、むしろ良いとされる風潮が広がることも大切で、それが育休を取得しやすい環境づくりにもなるのではないかと思います。
つまり、うちの子はかわいいです。親バカ最高です。笑
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