日本の経済力低下は一時的でなく、もはや、構造的な問題となり、短期的経済刺激策では回復しないことが明らかになってきた。社会構造が民衆の慣習から生まれるとすれば、依存的、守旧的慣習が蔓延っているのだろう。政府は減少する労働力を確保する為に、2019年度から、外国人研修制度(技能実習制度)を改変し、新しく、特定技能制度を制定した。これによって、何かと非難の対象となっていた技能実習制度を解消し、外国人人材の、賃金、生活、家族などの権利が守られることを望む。そして、その先に、多様性の豊かな新しい日本文化が生み出されることを期待する。
生物の多様性は、進化論的に、いろいろの競合を生み、自然選択を引き起こし、生物世界自体を強くした。人間が人為的に保護栽培選別した種は、ウイルスなどの蔓延で容易に絶滅する危険があるが、自然選択された多様な生物はそうでない。人間社会においても同様に、人種や文化の多様性が大切だ。文化的な画一性は、それ自体で停滞を生む要素となる。経済的にアメリカが強い理由は、人種のるつぼと言われるように、多様な民族が同居し、大きな多様性を示しているからである。イギリスの最盛期も、数多くの植民地からの人種の流入によって、大きな多様性が生まれ、その是非はともかく、経済的にも文化的にも繁栄を謳歌したのだ。
これに対して、多様性が減少すると、保守的傾向が強くなり、悪循環が生じて排他的な傾向となる。移民を排斥する傾向は、経済的な問題から起こることが多いが、移民の排斥による多様性の喪失は、さらなる停滞を招き、経済的脆弱性を助長する。日本が多様性をなくしてから、長い年月が経っている。政治家が失言、時には確信的に「日本は単一民族の国だ」と無知を示すように。
日本の強さの源流は、朝鮮半島を通して、多くの人が流入し、強い文化を築いたことにある。古くは、縄文人に対して、大陸渡来人である弥生文化であり、その後も平安期には、大陸からの移民によって、宗教文化や実用的な文化が到来した。戦国期にも、今度は南からヨーロッパの多くの産物や文化の流入があり、経済を大きく引き上げる原動力となったのだ。この様に、歴史的に、他文化の流入と移民によって、多様性が生まれ、大きく飛躍する要素が生まれたのである。
現代の日本は、外国人の数も少なく、多様性が失われている。20世紀に特徴的であった大量生産時代に限っては、多様性の利点はそれほど大きくはなかったが、今から考えると、大量生産時代は長い歴史の中で一時期に過ぎず、それが去った後には、一般的な要件である多様性が求められているのだ。
現在の日本において、人口減少からくる労働力不足を補うためには、外国人労働力の必要性があるが、一部では、外国人が日本の文化に影響を与えるべきではないとの意見がある。むしろその反対だ。外国人労働者によって、多様性の少ない日本に多様性を取り戻すべく、日本の文化にも大きな影響を与えてほしい。それがなければ、現在の日本に蔓延している、内向き志向は、人口減少にも増して、将来を暗くしている。
日本人が積極的に外国に出ていく事も必要だが、外国人労働者の導入の影響は、単純に労働力の増加のみではない。外国人人材は、諸外国の多様な文化を、今までの日本文化に融合させ、新しい文化を作っていく契機となる。日本には、そこから生まれる新しいものが必要となるのだ。単純に単一文化を好むよりも、多様性を重視し、一定の外国人比率を達成する(約10%程度―人口にして1200万人程度、現在は270万人)必要があるのではないか。
色々の場所で「多様性―diversity」が重要であると言われているが、多様性の最も大きなものは、民族多様性だ。この最も重重な点を見ないで、多様性を叫んでも、意味はない。
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