コロナを機に超高齢化人口減対応「コンパクト日本」へ

2年余のコロナ禍が辛くも沈静化し、厳しく規制されていた飲食業界も正常営業に戻り始めた。しかし街中でマスクをしていない人は無く、飲食店は席間を空け電車もどことなく空いている。一方テレワークやオンライン授業等、コロナを機にインターネットを活用した新しい仕事や学習の在り方も一般的になった。令和3年現在の我が国の総人口は1億2600万人、年間出生約84万人に対して年間死亡数は超高齢化により増え続け約140万人、高齢化率つまり65歳以上の割合は2040年頃には40%に迫ると予測される。超高齢化と少子化による労働人口減少、特に第一次産業の衰退や高度成長期に整備された老朽化インフラの維持更新を鑑み「減築」やコンパクトシティ化、経済縮小が言われて久しい。コロナを機に「コンパクトな日本」を考えるべきではないか。

コロナによる影響と変化

最も甚大な影響被害を被ったのは飲食業そして宿泊業、その関連業者である。過去最大の廃業倒産が起き老舗名店も例外ではなかった。主戦力の女性パートや学生アルバイトが失職し、女性と若者の自殺者が超過した。一方で配膳ロボット開発が急速に進められている。生き残り・救済のためクラウドファウンディングが勃興した。

外食外出制限のためテイクアウトと通販需要が増大し宅配需要は増大、ギグワーカーと呼ばれる配達バイトが急増した。大企業はデスクワークのテレワーク化を進め、通勤通学出張旅行が減り交通事業は旅客減、一方でネット会議システムが急速に普及した。

学校教育は休校のため小中学校の授業に遅れが生じ、オンライン授業も低所得家庭児童が通信費負担等のため十分授業を受けられない、ネットイジメ等の問題も発生した。また体力低下やメンタル不調が報告されている。大学等では医療介護系で実習できないことが問題となり、一部でVR/AR(XR)の活用が模索され始めた。

医療はフリーアクセスが揺らぐ大混乱、医療崩壊と呼ばれ特に救急入院受け入れに支障が生じ、予定入院や手術等も延期などの影響を受けた。ワクチン接種も特殊な流通を必要としたため混乱した。特にコロナ病棟職員やコールセンター職員の心身の疲弊は激しく離職も増えたという。

コロナ以前からの問題:労働人口減と経済縮小

飲食業界はコロナ以前から超高齢化少子化により人材難のため、外食チェーンや一部コンビニは深夜営業中止や店舗統廃合を進めてきた。一部飲食店や宿泊業では高齢化と人口減に備え高級路線への開発改修も見受けられる。一部に「給付金成金」も聞くが、飲食店の開業10年後の「生存率」は1割と言われ、給付金の方が稼げたなら経営状態が悪く不健全であることを示し、ジリ貧となる。

空き家空きオフィスが増加し、鉄道や道路、上下水道等のインフラも高度成長期に整備されたものが老朽化し更新時期を迎えているが、その維持更新が予算人員ともに難しいと言われて久しい。

学校教育はDX化に対応してデジタル教育が叫ばれるが、特にプログラミング教育等では問題も聞く。近年は境界知能つまり「クラスに必ず何人かいる頭の良くない子」、知的障害と正常知能の中間の人が一定数居ることが知られてきた。その子らが取り残されデジタルデバイドを拡大させない配慮が必要になる。

特に高齢者医療費増大は国家経済基盤を揺るがす大問題であり、かねてからフリーアクセスの制限も言われてきた。かかりつけ医推進にも関わらずフリーアクセスゆえの「病院ショッピング」のためかかりつけ医が居ない人が困窮することとなった。

考察:人口減社会を理想の未来社会にするために

新型コロナの大都市圏の爆発的感染と医療崩壊問題は、「痛勤」含め大都市一極集中が招いたリスク面と言える。一方でネットの普及と高機能化やロボット化等の先進技術が、コロナを機に急速に社会実装され始め「未来化」し始めた面もある。

近年は郊外都市人気が高まり、地方との二地域居住やワーケーションも注目され始めた。過疎地では高齢化率40%を「先取り」しており、筆者が神奈川と週2往復し出稼ぎ介護施設長として赴いた外房では、昼間街中に若い人や子供は居らず活気は無いが、自然と食材豊かな外房での時間は有意義だった。可能な業務をテレワーク化することで郊外や地方に住み必要な時だけ新幹線等で出社したり、通勤路線も通勤者が減ればゆったり通勤でき、生活環境は改善する。国は大都市をビジネスのハブ、IX(インテリジェンスエクスチェンジ)として居住人口は周辺に誘導し、社会のITデジタル化、DX活用により日々の暮らしがより快適効率的になるよう政策誘導すべきだ。

労働人口減の中で若い世代の非正規化と低所得化が増加しており、特に社会機能維持に関わるエッセンシャルワーカーの低所得・社会保障対策が重要になる。縮小する経済のツケを非正規労働者に転嫁し低所得に甘んじさせることは、巡って生活保護等の社会保障負担、税負担となる。待遇改善と生産性向上やロボット導入により低所得非正規労働者を減らし平均年収を上げる必要がある。一方労働人口を増やすべく高齢者雇用を国が進めているが、身体的限界からエッセンシャルワークや第一次産業を支えるには不足がある。リーマンショック時にワークシェアが言われたが、地域内の仕事を「小分け」し、高齢者が能力体力に応じて働けるような仕組み作りが有意義と考える。

人口減と超高齢化により経済縮小する中で、現在の我が国の生活社会サービス水準を維持するには、生産性向上と都市のコンパクト化が必須だ。富山市はLRTを軸としてコンパクトシティ化を進め成功しつつある。大都市一極集中を是正し、高度な機能を持つ大都市とコンパクトシティ化した生活都市に再構築し高速交通網で結び、人口減とともに居住区域をコンパクトにまとめインフラ整備更新し易くする。これは超高齢化による高齢者の買い物難民等の対策にもなり、国民の総移動距離が減れば交通手段のCO2排出も減る。医療はかかりつけ医(プライマリケア医療)と高度機能病院の役割分担を進める。給付金その他公的投資は健全経営で発展可能性が高い事業所に絞り込むべきだ。

人口減、労働力減、経済縮小する今後は社会資源のハード、ソフトとも選択と集中により効率化、生産性向上が必須だ。GDP総額が見かけ減っても、一人当たりGDPそして所得が増えれば、国民は豊かになれるはずだ。保健師また出身たる飲食業の苦難辛酸を肌身に感じた調理師として、高度成長の「次」の持続可能SDGsな社会と都市の再構築が必要と考える。

 

参考
コロナ禍、4.5万の飲食閉店 協力金で支えきれず: 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2230G0S1A920C2000000

飲茶フロアに自動配膳ロボットT5 横浜中華街「招福門」で実証実験
https://www.hamakei.com/headline/11026/

社会インフラの維持管理をめぐる状況 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h25/hakusho/h26/html/n1131000.html

なぜ富山市の老人は、死ぬまで歩いて暮らせるか
https://president.jp/articles/-/13482

水道広げず、橋は壊す…トヨタ膝元でも進む「街を畳む」選択
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00206/112000008/

新西横浜街の医療ケア研究室 保健師・看護師・元先端バイオ創薬ベンチャー取締役五十嵐 直敬
1995年北里大学看護学部卒。
北里大学東病院、内科クリニックを経て1999年横浜市内で訪問看護ステーション新設、所長。難病ケア、リハビリ、在宅ホスピスに携わり介護保険制度発足時に横浜市介護認定審査委員。2000年に遺伝子治療の可能性を探求し先端バイオ創薬ベンチャー取締役。
その後救急病院、訪問看護所長、介護施設長等を経て外来看護の傍ら2017年より新西横浜街の医療ケア研究室としてコンサル等活動。
1995年北里大学看護学部卒。
北里大学東病院、内科クリニックを経て1999年横浜市内で訪問看護ステーション新設、所長。難病ケア、リハビリ、在宅ホスピスに携わり介護保険制度発足時に横浜市介護認定審査委員。2000年に遺伝子治療の可能性を探求し先端バイオ創薬ベンチャー取締役。
その後救急病院、訪問看護所長、介護施設長等を経て外来看護の傍ら2017年より新西横浜街の医療ケア研究室としてコンサル等活動。
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