コロナ禍をきっかけにSDGsを考える(外国人労働者支援の必要性)

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であり、2015年に国連で定められた、2030年までに達成を目指す17の目標と169のターゲット(具体目標)で構成された国際社会共通の目標である。17の目標のうち、マスコミではリサイクルなどの環境問題が取り上げられることが多いが、貧困や飢餓、働きがい、男女平等、経済成長など現在我々が抱えている課題を包括的に取り入れている。

SDGsの17の目標(出所:国際連合広報センターHP)

2020年時点の目標達成状況だが、日本はアジアでは最高位ながら、2019年よりも2位下げて17位とけっして高評価ではない。なお、ランキングは上からスウェーデン、デンマーク、フィンランドと北欧諸国がトップ3を占め、フランス、ドイツが続き、アジアでは20位に韓国、48位に中国が100位内にランクインしている。また、ワースト5は最下位(166位)から、中央アフリカ共和国、南スーダン、チャド、ソマリア、リベリアと発展途上の余地があるアフリカの国々が並ぶ(Development Report 2020)。

現在、世界中で変異種を含めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延しているが、この未曽有の危機をきっかけにSDGsが関心を集めている。2019年12月に中国武漢で初のCOVID-19の感染者が確認され、そのわずか数ヶ月後の2020年4月7日には日本でも1回目の緊急事態宣言が発出され、同様に遠く離れた欧米諸国でもロックダウンを含めた危機的状況に陥っている。世界中を跨いだCOVID-19の感染拡大でもわかるように、世界は繋がっており、自国の発展だけを考えていては、安心安全な生活も経済成長も期待することはできない。特に日本は石油などの資源を中東諸国などに頼り、衣料品や生活必需品もベトナム、バングラデシュなどの途上国で加工されたものが多く、日常的に口にするコーヒーやチョコレートも南米やアフリカの途上国が原産国である。

何より、日本では少子高齢化社会の到来を受け、労働人口の減少を補うべく、既に1,724,328人の外国人労働者が日本で働いている。コロナ禍で日本への入国が厳しかった2020年でも、前年比で65,524人増加していることからも、コロナ終息後はより一層増加することは間違いない(「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」)。さらに、外国人IT技術者の増加も予想される。これは、老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合の国際競争への遅れや、経済の停滞を意味する「2025年の崖」と呼ばれる危機の回避に向け、DX(Digital Transformation)の必要性が叫ばれている割には、IT技術者が不足しているためである。そして、外国人労働者の多くは母国の家族の生活のため、子息の学費のために受取った給与の大部分を送金している。このように、日本は既に海外諸国、そして外国人労働者を抜きにして経済成長を期待することはできない状況にある。

まずは、170万人超の外国人労働者を単なる「働き手」として扱うのではなく、日本の経済成長をともに支え、我々と一緒に日本で生活する「生活者」「仲間」として受入れる意識が重要である。外国人労働者には当然言語・文化の壁があり、そして、それ以上に我々にとっては当たり前である就職、住居、医療、携帯電話、金融サービス(銀行口座開設、適切な融資など)が圧倒的に不利な状況にある。政府、自治体による制度設計、民間企業による支援、そして我々の暮らす社会が外国人労働者を積極的に、そして前向きに受入れることが必要である。

外国人労働者の生活が豊かになることで、彼らからの送金に頼る母国の家族の生活も豊かになる。そして子息は教育を受ける機会を得て、貧困の負の連鎖からも解放されるはずである。結果として、日本だけではなく、外国人労働者の出身国別人数で上位を占めるアジアの途上国であるベトナム(443,998人)、フィリピン(184,750人)、ネパール(99,628人)、インドネシア(53,395人)を含めて、SDGsの17の目標のうち、「1.貧困をなくす」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「10.人や国の不平等をなくそう」にも貢献できるのである。

国籍別外国人労働者の割合
(出所:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」)

SDGsは世界共通の目標ということで遠い存在に感じるかもしれないが、私たちとって身近な課題を含んでいる。SDGsの「誰一人取り残さない」という原則に従い、外国人労働者を取り残すことなく、彼らも暮らしやすい社会を構築することが、我々にできるSDGsの第一歩となるのではないだろうか。

富士通株式会社 第三ファイナンス事業本部 シニアマネージャー安留 義孝
1968年、横須賀市生まれ。明治大学商学部卒。
メガバンク系シンクタンクを経て、2001年、富士通(株)入社。現在、世界の金融、小売の調査研究、および決済領域を中心にコンサルティング業務に従事。 「月刊消費者信用」の長期連載に加え、「月刊金融ジャーナル」などへの寄稿多数。
代表著書は「キャッシュレス進化論」(きんざい)、「テレワークでも成果を上げる仕事術」(マイナビ出版)。渡航国は現在45ヶ国。
1968年、横須賀市生まれ。明治大学商学部卒。
メガバンク系シンクタンクを経て、2001年、富士通(株)入社。現在、世界の金融、小売の調査研究、および決済領域を中心にコンサルティング業務に従事。 「月刊消費者信用」の長期連載に加え、「月刊金融ジャーナル」などへの寄稿多数。
代表著書は「キャッシュレス進化論」(きんざい)、「テレワークでも成果を上げる仕事術」(マイナビ出版)。渡航国は現在45ヶ国。
  • 社会福祉法人敬友会 理事長、医学博士 橋本 俊明の記事一覧
  • ゲストライターの記事一覧
  • インタビューの記事一覧

Recently Popular最近よく読まれている記事

もっと記事を見る

Writer ライター