コロナ禍で、リモートワークが盛んになっている。普段行っている作業のうち、最も必要であると考えられていた「会議」でさえ、一同に集まる必要があまりないことが分かった。ところで、プロジェクトなどを始める場合、考え方(理念)⇒戦略⇒方法の順に検討を進めていくが、会議において、考え方(理念)の部分では、提案そのものが通り一辺倒で抽象的であり、新鮮味が少なく、あるいは欠如しているので、それに対する議論があまりない。戦略についても少しの議論はあるが、是か非かの意見はあまり見られない。抽象的な概念に対して、抽象的な批判をする習慣が少ないことが原因と思われる。しかし、方法に至ると議論は大いに盛り上がる。つまり、多くの人が、具体的に目に見えるものについては議論できるが、抽象的な概念について議論が苦手なのだろう。
戦後長い間、日本では実利的な教育を主体としていた。その代表は、理工系重視の教育などであり、教育は産業に貢献するように仕組まれていた。いわゆる「リベラルアーツ=一般教養」は著しく軽視された。目の前にある実利的な製造工程については、改善しようとする考えが湧き起こるが、目の前に存在しないか、想像しなければならないものについては、考えること自体が少なかった。従って、当然、概念についての議論は起こりようがない。この傾向は大学から中高等学校、小学校へと広まり、議論を省略した「正解を求める教育」に行き着く。「正解を求める教育」は技術を教えるには都合が良いが、議論をするためには、はなはだ不向きである。
議論は対話を基礎にしている。会議の場合は通常多人数だが、その一部分を切り取ると対話形式になっている。つまり、何らかの提案に対してその問題点を討議するのであれば、提案者に対して対話形式となる。会議において対話的議論を行う場合、次のようなことに気をつける必要がある。まず、相手の発言内容をよく聞き、直後に発言を「要約」し、相手にその「要約」が適当かどうか確認する。例えば、「あなたの提案の主旨は〇〇だと思いますが・・・」から始める。それが違う場合は、即座に相手は「私の考えは△△です」と訂正するだろう。この問答によって、議論の論点が明確となる。また、「要約」によって、相手が自分の発言の要旨を初めて発見することもある。そして、「要約」が相手に了承されれば、その内容について「質問」する。この場合、相手の述べたことに対して必ず常に「質問」する習慣が大切だ。相手の議論に対して「質問なし」はあり得ない(質問なしは相手の話を聞いていなことと同じだ)。「質問」は言葉を変えれば、自分と相手の認識の違いである。サルトルの言うように「他人は地獄である」とすれば、認識が同じになることはあり得ない。従って「疑問」は常に生じる。「質問」する部分は、相手の発言内容全般か、あるいはごく一部かによって方法が異なる。内容全般に対して了承できない場合は、最も中心の論旨を取り上げ、それに対して「質問」する。一部の場合は、「内容に対して全般的には賛成しますが、この部分については・・・」のような「質問」を行うべきだ。
ただし、質問は相手の提供する情報やそれに対する考え方、さらには、行動様式に対して質問することになるが、よく見られる対話(質問)の問題点は、相手にさらなる情報提供を求めるたぐいの質問である。少しなら良いが、これを続けると果てしなく情報を提供することになり、きりがないし、提案者もそんなに無制限の情報を持っているわけではない。従って、質問は相手に果てしなく情報を求めることではなく、現在提供されている情報の「範囲内」での考え方や、行動様式に対する質問となる。
この様に、対話による議論を行うときには、常に相手の議論に対して何らかの「質問」が行われないといけない。「質問」なしでは、議論にさえならない。この様な、相対する対話(議論)のやり方を「弁証法※」と呼ぶ。「弁証法」的な議論は、双方の考え以上のものを生み出す可能性がある。常に相手の意見を十分に考慮しながら、対話を行うことによって素晴らしい考えを見つけることも出来る。あるいは、双方の考え以上の、第三の考えを発見することもある。
※弁証法;ある意見と、それと対立する意見があった場合、議論によってそれらを本質的に統合した別の意見が生み出されること。この過程を繰り返すことによって、より良い考えが形成されること。
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