人口減少が日本の最も大きな問題であることは、すでに何度も述べている。下図は、超長期(今後350年程度、2350年まで)の日本人口の予測を示したものだ。上のグラフ線は、合計特殊出生率2.08の場合、下がっている下のグラフ線は、合計特殊出生率1.3~1.4の場合を示している。2.0以上の合計特殊出生率の場合は、1億人の人口でほぼ固定するが、現状のような1.3~1.4の出生率の場合、2000年時点で12,800万人であった日本の人口は、2100年には4,700万人程度、2350年には460万人程度となり、西暦3000年にはわずか2,000人となる。
人口問題研究所
もちろん本当にこの様な状態になるはずがない。不足分は諸国からの労働者で埋まるようになるだろう(これは必然的なことであり、選択の問題ではないことに注意)。一方で、日本人(定義は次第に変化する)の出生率を上げるような試みは、現在もそうだし、未来においても失敗するだろう。経済的に豊かになった人々の行動はどの国でも同じように、少子化に進むのだ。
人種の多様化と移民の流入が継続しているアメリカやオーストラリアでは、人口減少が起こっていないし、ヨーロッパの多くの国、例えば、ドイツ、スウェーデン、オランダなどでは、近年の移民の増加によって、人口減少が起こっていない。自国で多数を占める人種のみで出生率を上げるような試みは、多くの場合失敗しているのだ。
厚生労働省資料
上記のグラフで分かるように、外国人労働者は2017年から2019年にかけて年間20万人程度の増加である。2020年はCovid 19による影響があるが、それがなかったら年間20万人以上の増加は続いているだろう。
自民党の外国人材交流推進議員連盟が2008年にまとめた「1000万人移民受け入れ構想」がある。このレポートでは、年間20万人の外国人労働者の受け入れをするように促し、「移民」論争の火付け役となった(現在から見ると勇気ある提言だ)。この当時の状態が今や現実となっているのだ。しかし、それ以降「移民」論議は下火となり、何度かあった政策転換のチャンスは消え、現状では日本政府は、2014年の「日本再興戦略」の中で、外国人労働者の受け入れを「移民政策と誤解されないように配慮し、総合的な検討を進めていく」と表明している。いまや日本の得意な、「曖昧なまま過ごし、事態が変化すると現状追認すること」になりつつあるようだ。
また、先日閣議決定され、今国会で審議される予定の入管法「改正」案は、日本の難民排斥ぶりに拍車をかける内容だ。とりわけ、法務省・入管庁が難民認定申請者の強制送還を可能とする例外規定を設けようとしていることに対し、「国際法違反」と専門家や国際機関からも懸念の声が上がっている。このままでは、本来、難民条約に基づき庇護すべき難民を、国際法に反して強制送還してしまい、国際社会から批判を招くことにもなりかねない。この点でも、変えられない日本が見えている。
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