秋篠宮家の長女・眞子様が世界で最も幸せな国と言われるブータンをご訪問されました。(2017年5月31日~6月8日の日程)
昨年、初来日した「世界で最も貧しい大統領」と言われるウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカ氏は日本人に向けたメッセージで「日本国民は幸せなのか?」と問うています。
「わたしは日本人に問いたい。日本国民は幸せなのか? 人々は人として達成感を得ているのだろうか? スーパーで多くの物を購入することはできるけど、人生は短いし、人生における時間は買えないのだ。今回の日本への旅は観光旅行ではないし、すべての疑問に対する手がかりや答えを得ようとしているわけでもない。そうではなくて、技術的に非常に発展した日本との相互理解を深めるものにしたい。日本社会に、ウルグアイを待ち受けている事柄の、何らかのサインがあるように思うから。日本の人々がどんなことを感じているかを、知りたいと思うんだ。」(世界でいちばん貧しい大統領が問う。「日本国民は幸せなのか?」)
少し古くなりますが、平成20年度版国民生活白書には興味深い報告が見られます。
1958年には日常生活で悩みを持つ人は国民の3割で、大多数の7割の人は不安を持つことなく生活していました。1960年には池田勇人内閣の下、国民所得倍増計画が閣議決定されました。因果関係は明らかではありませんが、統計によるとこの頃から日常生活で不安を抱える人が増えています。
1990年はバブル経済が崩壊した年として記憶されています。この年から日常生活に悩みや不安を感じない人の数が減少に転じています。2010年の段階では1958年と全く逆転して、日常生活に悩みや不安を感じない人が3割、そして悩みや不安を感じながら生活をしている人が7割となりました。つまり私たちの大多数は毎日悩みや不安を抱えながら生活をしている、という現状が明らかになっています。
あなたは毎日の生活の中で悩みや不安を感じますか?
ホセ ・ムヒカ前大統領と同様、昔の人が生きていたなら現代人に対して「あなたたちは幸せですか?」と問いかけていたかもしれません。昔の人はなぜ悩みも不安も無かったのでしょうか?
池田隼人元首相の計画どおり、我が国の国民総生産は順調に増加しました。しかしながら生活満足度は上昇していません。
1971年にブリックマン氏とキャンベル氏という2人の心理学者が所得や経済状態は個人の幸福感とは相関がないことを示しました。「幸福のパラドックス」として知られています。我が国に於いても国民総生産と生活満足度は全く相関していないことが示されたのです。
もう一つ興味深いデータが示されています。日本国民の主観的幸福度は若い人が高く年齢が高くなるに従って低下しています。対照的に米国に於ける主観的幸福度は、年齢が高くなるにつれて高くなっています。我が国の高齢者の人口が増加の一途をたどっていることからすると、幸せを感じていない人が爆発的に増加している状況であると、考えられます。日本の国に不幸せな人がどんどん増えている、誠にもってして憂うべき現状ではないでしょうか。
様々な研究によると、主観的幸福度は個人が置かれている状況に大きな影響を受けると言われています。その多くの因子は人間関係と関連しています。人間関係が良い状況にあれば幸福度は増すと言われているのです。幸せになるためには豊かな人間関係を築くことが大切なのです。
それに加え、自分の価値を認めることをも大切とされています。自分の人生はかけがえがなく、自分らしくあることが何より大切なのです。
高齢になっても、重い病気があっても幸せになることはできる。
例え病気があったとしても、幸せになることはできます。殻に閉じこもらず、まわりの人と良い関係を持ち、心安らかに過ごすことで幸せは感じられるのです。自分自身の人生をかけがえのないものであると、自信を持ち、自分らしい生活をすることで幸せな気分に浸ることだってできます。病気を受け入れることと不幸であることとは、同一ではありません。病気を知って、それを超えて幸せになることができるのです。
『幸せになるなんて簡単だ。幸せだと思えばいい』
米国の思想家で哲学者ラルフ・ワルド・エマーソン氏が残した言葉と言われています。
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