時代の変化に伴って、システムや慣習も変化していくものです。“教育”についても例外ではなく、日々変化が求められている中で、私が今感じている「これからの時代は若い世代を育てることが難しくなっていくのではないか?」ということについて、述べてみたいと思います。
“パワハラ”や“セクハラ”という言葉を以前より多く耳にするようになりました。
“ハラスメント”の意味ですが、「他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えること」だそうです。
“パワハラ”であれば、「職場で地位や職位の上の者が、その優位性を背景にして、下の者に対して不用意に苦痛を与える」ということに。そして2020年6月よりパワハラ防止法が施行されました(※企業側に相談窓口の設置や再発防止対策を求めるほか、行政の勧告に従わなかったときは、企業名が公表されることとなるそうです)。
ここから本題の、“教育”に少し話を戻します。
これまで親、会社の上司、少年団のコーチ等、今まで数多くの教育(=指導)を受けてきた中で、「理不尽」と感じることはどれほどあったでしょうか?
私は、この「理不尽」には2種類あると思っています。
一つは、本当に理不尽であること。そしてもう一つは、「自分が未熟であるために、正当な指導であるにも関わらずに、理不尽と感じてしまっていること」です。
例えば、「数年前、両親や上司が言っていたことを当時は理解できなかったけど、あれってこういうことだったのか!」と、ふと思い返す経験はないでしょうか?これは、「自分が未熟であるために当時は理解が出来なかったが、成長をすることでその本質を掴むことができるようになった」という現象だと考えています。そのため、自分が理不尽と感じるものは、まさに玉石混淆(ぎょくせきこんこう)で「理不尽な石」もあれば、「自分の成長につながる有益な宝石」が眠っている可能性がとても高いのです。
これまでは、玉石混淆を浴びせる指導法だったと思います。個人も理不尽をある程度は我慢出来ていたし、社会もそれを許容していました。一方で、“ハラスメント”が声高に叫ばれる今の時代は、過去の指導法が通用しません。簡単に言うと、今の若い世代は理不尽を受け入れることができません。
何か嫌なことや気に食わないことがあると、“ハラスメント”というとても強固な盾を構えます。そうすると、「自分の成長につながる有益な宝石」も受け取ることが出来ません。
そして実際に、私も後輩の指導にあたる時にとても気を遣っています。
「どこまで言っていいのだろうか」「これ以上怒ってしまうと、委縮するのではないか」
「自分は指導だと思っている。だが相手が人格否定だと思っていたらどうしよう」
そうするとどうでしょうか?突っ込んだ指導が出来ません。いわゆる、“置きに行く”という、チャレンジすることを恐れて無難な指導方法をとってしまうようになります。
これが、最初に申し上げた、「これからの時代は若い世代を育てることは難しくなっていくのではないか?」に繋がります。
渋沢栄一著「論語と算盤」にこんな一説があります。
後輩の指導にあたる先輩にも二種類存在する、と。
まずは後輩に優しく接する人物。決して責めずにフォローを欠かさない。
もう一方は、後輩に対して厳しく接する人物。少しのミスをしようものなら責め立て、後輩につらく当たる。
全文を書くと非常に長くなるので割愛しましたが、論語と算盤では後者の厳しく当たる人物の方が後輩のためになるのではないかと述べられています。しかし、これからの時代は“ハラスメント”という強固な盾に阻まれ、前者の優しく穏やかな、置きに行く指導方法しかとれなくなってしまいます。
本件について、「昔の指導方法は良かった」などと、懐かしむつもりはありません。時代は急速に変化しているので、指導方法も変わっていかなければならない、と思っているためです。
最後に、10代、20代の若い世代にアドバイスをするのであれば、
・これからは、誰も教えてくれないよ。指導する人のリスクになることだからね。
・自分を戒めて、自分の成長には自分で責任を持たなければいけないよ。
・自分が正しいと進む方向は間違っているかもしれないよ。けどそれを矯正してくる人もでてこないかもね。
少し厳しいかもしれませんが、社会はこのような態度をとってきます。
その中で、「では、どうすればよいか?」「自分はどうなりたいのか?」とひたすら考えることがとても重要で、その行為が正解に近づかせていくのだと思っています。
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