政府は、働き方改革の一環として国民の祝日を増やしたり、一斉に休む日を設定することに忙しい。
国の意向に左右される必要はないが、企業の年間休日の決め方は、それほど合理的になっていないことも事実である。
日本の企業が法律に沿って労働者に休暇を取らせる場合、その根拠は以外に少なく、大きな項目は、毎週1回以上の休日(労働基準法35条1項)に加え、同じく労働基準法において法定労働時間の規定などがある。
法定労働時間は、原則として、1日8時間、1週間に40時間を限度とする(労働基準法32条)。これに加えて、年次有給休暇を一定数(年間10日以上、多くの労働者にとって20日)が定められている。法律に、年間休日の最低日数についての決まりは無いが、法定労働時間の制限がある。従って、1日の労働時間が8時間、週40時間以内労働のため週5日労働(2日の休日)、年間52週とすれば自然に104日程度がフルタイム勤務の場合、最低限の休日となる。これに会社独自の休暇(例えば盆や正月休みや国民の祝日など)を加える。
「法定休日」の外に定めている休日を「所定休日」と称し、その合計が企業の年間休日となる。いわゆる国民の祝日(年間16日)は取りあえず関係ないが、これを一応参考にすると120日(104日+16日)となる。この日数が休日の目安となるが、企業にとって国民の祝日が増えた場合、自動的に労働者の休みを増やす必要はないので、必ずしもカレンダー上の休日とは一致するわけではない。
この様な考え方を取る企業から見ると、国民の祝日を増やすことは全く意味がない。もし、政府関連の役所が国民の祝日を自動的に休みとしているなら、年間休日の考えがない、つまり、働き方についての戦略が無いに等しいと言えそうだ。
年間休日とは、一般的に、会社ごとに定められている1年間の休日を意味する。有給休暇や忌引きは年間休日には含まれない。休日については、土日祝日を休日と定めている会社が多い。しかし土日祝日を出勤日として、土日以外を休日としている会社もある。従って、各企業は国民の祝日に関係なく、104日以上の「法定休日」に「所定休日」を加えた日数を、個別の企業毎に年間休日と決めれば良い。そして企業の年間休日は、前もって月ごとに指定した方が良い。政府が気まぐれで行う「国民の祝日」に左右される必要はないのである。こうすると、政府の決めた国民の祝日は意味をなさなくなる。
企業が労働者のために「働き方改革」を行おうとする場合、最も単純には、年間休日を増やすことである(当然有給日を除く)。しかし、年間休日が「法定休日」の104日程度からそれに国民の祝日を加えた120日で、それに加え、年次有給休暇が20日確実に取得されれば、労働時間に関する限りは、「働き方改革」は完了する(残業がない場合は年間労働時間が約1800時間となる)。残るは、現状で普通のことを、普通に行うことが出来ているかどうかを監視するだけである。
もしも、所定休日を120日としている企業が、実際には110日の休日しか与えていないのであれば、年間80時間程度の残業代、それも休日に付いての残業代が発生し、企業には大きな負担となる。年間の休日数が企業毎に明記され、それが問題にされなければならない。
年間休日数が固定されれば、それを月ごとに配分する。
例えば年間休日が120日の場合、均等に配分すれば1ヶ月あたり10日である。もちろん、月ごとに28日から31日までの幅があるので、配分は均等でなくても構わない。ついでに有給休暇を取る仕組みも改善する必要がある。現在、有給休暇を取得しにくいのは、職場への迷惑を考えての遠慮が多い。従って、年次の初めに個人ごと年間の休暇日を決めておくことをお勧めする。ちなみに北欧諸国の多くはこの方式だ。例えば20日の有給休暇の半分である10日程度の休暇日を、年度の初めに決めておき、残りの10日は、病気や急な事態に取って置くことが合理的だろう。予定が決まっていれば、休みを取ること自体に仕事上の問題がなくなる。なぜなら、あらかじめ勤務の調整が出来るからである。この作業を行う場合、1日あるいは1週間の仕事総量と労働総量との関係が明らかになっていなければならない。あらかじめ決めておく休暇予定について、年間のスケジュールが立ちにくい場合は、半年ごとでも良い。
ついでに小学校、中学校、高校にも欠席としない「休み」を年間10日程度設けてはどうだろうか? そうすると家族で平日に旅行に行くことが出来るだが。
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