私の事を説明します。私は重度障害者で生まれつきの脳性麻痺です。脳性麻痺も色んな種類がありますが、アテトーゼ型と言いまして手足が勝手に動いてしまって、簡単に言うと赤ちゃんが手足をばたばたさせているのと同じです。頭の中は45歳の男性ですが、運動機能は生後半年です。
私は「伝の心(でんのしん)」というパソコンソフトを呼吸で操作し、この記事を書いています。
私は重度障害者として生まれましたが、障害をさほど意識する事も無く育ちました。言うならば、生まれた時から障害を持っているので、障害がある事が普通の状態です。
[重度な脳性麻痺は2万人に一人の割合で2万人に一人しか味わえない人生を楽しもう]。それに障害があると他者の支えがないと生きれないから、人との[出会い]や[絆]の中で生きられるので障害者もなかなか悪くないなあと思っています。
1970年代に私が生まれ、1979年(私が小学校に入学する前年度)からやっと障害者の義務教育が始まりました。
戦前や戦時中に比べればかなり変わって来たのかもしれませんが、この時代は強い者・優れた者・知識がある者だけが活躍でき、弱い者・劣る者・知識がない者は排除される社会で、まだまだ優生思想が強い世の中でした。障害は本人や家族の努力が足りないから克服ができないとされる時代で、障害者が家に居る事自体が恥ずかしいとされ、座敷牢という言葉ができたぐらい、障害者を家に閉じ込めて社会から隔離すればいいとされる時代でした。
国の政策でも、わずか23年ほど前(1996年)までは「障害者を減らすために子供を産めなくする法律(優生保護法)」が存在していました。医学が進歩した20世紀の終盤まで存在したのです。優生保護法は1948年に施行され、遺伝性疾患やハンセン病、精神障害などを理由に不妊手術や中絶を認められていました。
日弁連によると、全国で手術を受けた約84,000人のうち、約16,500人は本人の同意なく不妊手術を受けさせられたそうです。1996年に「母体保護法」に改正され、優生手術の規定は廃止されました。今ならあり得ないと思いますが、こんな歴史があり今、ようやくこの時代に不妊手術を受けさせられた人たちが国を訴えた裁判の判決が出始めたところで、昔は障害があると悪い事(個人が悪い)(障害は病気と同じで治療するもの)という考え方でした。
そのような時代の中、重度障害者の権利に関する様々な法改正など、共生社会の基礎となった「青い芝の会の障害者運動」というものがあります。
みなさんご存知でしょうか?「青い芝の会」は、脳性麻痺者による障害者差別解消・障害者解放闘争を目的として組織され、全国各地に支部を持つ脳性麻痺者らによる運動団体です。
この「青い芝の会」を有名にしたのは、川崎バスジャック闘争です。
1977年、青い芝の会メンバーが車椅子でバスに単独乗車しようとした際、乗車拒否があったことを発端に、それは起こりました。
脳性麻痺者がバスに乗りこんで運行を止めたり、タイヤの前に寝そべったり、という抗議活動をしたのです。その内容は過激なものもあり、全国から集まった脳性麻痺者が、何十台ものバスを半日にわたって占拠した事は犯罪行為であったとも言えます。全員が無罪放免になりましたが、権利主張と身勝手は紙一重で、特に障害者は人の支えの中で生きているのに、身勝手な主張は社会には届かないと思います。しかし、この闘争の結果、今は都会のバスは車椅子スペースが必ずあり、三重県でも予約をすれば車椅子対応バスを走らせてくれるようになりました。
その他にも優生学的な思想、羊水検診、尊厳死にも反対の声をあげるなど、様々な運動・活動が行われています。当時、学校にも十分に行けず生活能力もない彼ら彼女らが全国組織を作って行動していたということには驚かされます。
最初の一歩は難しいのもので、このような運動が社会や人の気持ちを変えていくきっかけとなりましたが、まだ差別的な発言をする政治家や役人はたくさんいます。制度や法律は変わり、多様性・共生社会を目指す方向性は見えますが、人の気持ちはあまり変わってない、というのが正直な印象です。
ですが、改めて皆さんに多様性・共生社会の大切さ考えて頂きたいと強く願います。
最初に書いた優生思想が強い世の中は、成人男子が優先された戦時下のような「貧しい社会」になります。障害者や女性や子どもや外国人など誰でも尊重されて、人間らしい生き方ができる共生社会を目指してこそ「豊かな社会」につながるのだと思います。どんなに障がいが重い人やどんなに変わった考え方を持つ人でも、役割を持った人として受け入れ認め合う社会や豊かな社会が幸福を生むと思います
研究助成 成果報告の記事を見る
小林 天音の記事を見る
秋谷 進の記事を見る
坂本 誠の記事を見る
Auroraの記事を見る
竹村 仁量の記事を見る
長谷井 嬢の記事を見る
Karki Shyam Kumar (カルキ シャム クマル)の記事を見る
小林 智子の記事を見る
Opinions編集部の記事を見る
渡口 将生の記事を見る
ゆきの記事を見る
馬場 拓郎の記事を見る
ジョワキンの記事を見る
Waode Hanifah Istiqomah(ワオデ ハニファー イスティコマー)の記事を見る
芦田 航大の記事を見る
岡﨑 広樹の記事を見る
カーン エムディ マムンの記事を見る
板垣 岳人の記事を見る
蘇 暁辰(Xiaochen Su)の記事を見る
斉藤 善久の記事を見る
阿部プッシェル 薫の記事を見る
黒部 麻子の記事を見る
田尻 潤子の記事を見る
シャイカ・サレム・アル・ダヘリの記事を見る
散木洞人の記事を見る
パク ミンジョンの記事を見る
澤田まりあ、山形萌花、山領珊南の記事を見る
藤田 定司の記事を見る
橘 里香サニヤの記事を見る
坂入 悦子の記事を見る
山下裕司の記事を見る
Niklas Holzapfel ホルツ アッペル ニクラスの記事を見る
Emre・Ekici エムレ・エキジの記事を見る
岡山県国際団体協議会の記事を見る
東條 光彦の記事を見る
田村 和夫の記事を見る
相川 真穂の記事を見る
松村 道郎の記事を見る
加藤 侑子の記事を見る
竹島 潤の記事を見る
五十嵐 直敬の記事を見る
橋本俊明・秋吉湖音の記事を見る
菊池 洋勝の記事を見る
江崎 康弘の記事を見る
秋吉 湖音の記事を見る
足立 伸也の記事を見る
安留 義孝の記事を見る
田村 拓の記事を見る
湯浅 典子の記事を見る
山下 誠矢の記事を見る
池尻 達紀の記事を見る
堂野 博之の記事を見る
金 明中の記事を見る
畑山 博の記事を見る
妹尾 昌俊の記事を見る
中元 啓太郎の記事を見る
井上 登紀子の記事を見る
松田 郁乃の記事を見る
アイシェ・ウルグン・ソゼン Ayse Ilgin Sozenの記事を見る
久川 春菜の記事を見る
森分 志学の記事を見る
三村 喜久雄の記事を見る
黒木 洋一郎の記事を見る
河津 泉の記事を見る
林 直樹の記事を見る
安藤希代子の記事を見る
佐野俊二の記事を見る
江田 加代子の記事を見る
阪井 ひとみ・永松千恵 の記事を見る
上野 千鶴子 の記事を見る
鷲見 学の記事を見る
藤原(旧姓:川上)智貴の記事を見る
正高信男の記事を見る
大坂巌の記事を見る
上田 諭の記事を見る
宮村孝博の記事を見る
松本芳也・淳子夫妻の記事を見る
中山 遼の記事を見る
多田羅竜平の記事を見る
多田伸志の記事を見る
中川和子の記事を見る
小田 陽彦の記事を見る
岩垣博己・堀井城一朗・矢野 平の記事を見る
田中 共子の記事を見る
石田篤史の記事を見る
松山幸弘の記事を見る
舟橋 弘晃の記事を見る
浅野 直の記事を見る
鍵本忠尚の記事を見る
北中淳子の記事を見る
片山英樹の記事を見る
松岡克朗の記事を見る
青木康嘉の記事を見る
岩垣博己・長谷川利路・中島正勝の記事を見る
水野文一郎の記事を見る
石原 達也の記事を見る
野村泰介の記事を見る
神林 龍の記事を見る
橋本 健二の記事を見る
林 伸旨の記事を見る
渡辺嗣郎(わたなべ しろう)の記事を見る
横井 篤文の記事を見る
ドクターXの記事を見る
藤井裕也の記事を見る
桜井 なおみの記事を見る
菅波 茂の記事を見る
五島 朋幸の記事を見る
髙田 浩一の記事を見る
かえる ちからの記事を見る
慎 泰俊の記事を見る
三好 祐也の記事を見る
板野 聡の記事を見る
目黒 道生の記事を見る
足立 誠司の記事を見る
池井戸 高志の記事を見る
池田 出水の記事を見る
松岡 順治の記事を見る
田中 紀章の記事を見る
齋藤 信也の記事を見る
橋本 俊明の記事を見る