「国が、あなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うてほしい」これは、J・F・ケネディの就任演説の有名なくだりだ。
この考えを使えば、同様に以下の様にも言える。
「他人があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが他人のために何を成すことができるのかを問うてほしい。」
現代の資本主義社会は、人間の欲望のままに行動すると(欲望は抑えるものであると以前は教えられていた)、あら不思議とばかりに経済成長がもたらされ、社会が豊かになるマジックが生じる。アダムスミスの述べている(一部には間違った解釈もあるが)次のような言葉、「私たちが日々食事を摂っているのは、肉屋や酒屋やパン屋の慈愛心によってではなく、彼ら自身の利害に対する彼らの関心によるものである。私たちが呼びかけるのは、彼らの人間性に対してではなく、彼らの自己愛に対してであり・・・」これは、市場の「見えざる手」を表わしていると言われ、功利的に行動すれば、その結果回りまわって、社会が幸せになるという自由放任主義の根拠とされているものだ。しかし、順調に経済成長を果たしてきた資本主義経済システムは、先進国においてその限界を表している。しかも、各国政府は、さらなる成長を目指して、経済対策を続けている。
社会保障の問題を脇に置くと、現在先進諸国での生活状態は、さらなる成長を期待する必要は乏しく(事実さらなる需要は乏しい)、現状での生活に満足を感じるような態度が必要になる。つまり、功利的な満足ではなく、倫理的な充足が望ましい。自分の満足をひたすら追い続けて、それが実現できる時代はもはや遠のいた。人間が生を享けて、欲望を基にした物質的な満足を求めても失敗することが多くなるかもしれない。むしろ、他人が自分に何をしてくれることを期待するのではなく、まず自分自身が自立し、自分を尊重し、自分を大切にして、自分に自信を持つことが必要なのである。自分自身がまず自立するのだ。現代社会では一人で生きていけないことは確かなので、生活する以上、他者の関与を要するが、他者との協調と他者に対する依存とを混同しないようにすべきだろう。
しかし、人間が最も影響を受けやすい、3歳から9歳までの教育(就学前あるいは幼児教育)で、自立の大切さが教えられているかどうか、甚だ疑問である。自立心や公共心、あるいは、障害者と共生することや、物事は対話で解決すること、さらに自分たちのグループでの民主主義の在り方、地域の考え方など、人生の初めに教育すべきことが目白押しである。また、その教育が各個人の人生にとっても社会にとっても非常に有益な時期にある小学生に、英語やコンピュータプログラムを教えること、つまり一種のテクニック(大人になってからでも学習することが出来る種類の事)を早期に教育する意味は薄い。
高齢になって障害が発生して生活に支障を感じる場合、もともと自立的な生活を送ってきた人は、障害にもかかわらず、自分が生きていくことそのものを見つめて、自分で出来ることを考え、実行し、周囲には最小限の援助を求めることを決め、それを自然に受け入れることが出来る。そして、その態度は障害を抱えても、個人が「自由」に生きることを可能にするのだ。社会の援助は、その人の生活する自由を、周囲の人が奪わないようにすることだけを注意すれば良い。
しかし、それまで依存的に生きてきた人に対して障害が発生した場合、その後に自立的な生活を求めてもそれは難しい。障害がある人に対する援助は、当人がまず自分で出来ること、あるいは、支援を必要とすることを自主的に判断し、周囲の人にそれを要請することが最も援助を効果的に行い、障害を持っても自由に幸せに生きるための要件だ。これに対して、依存心が強い人に対する援助は、どうしても、過度の介入やマニュアルに沿った援助となり、援助する側にも援助を受ける側にも不満がうっ積する。また、障害を抱える人の生活の自由も損なわれる場合が多い。
遠い道のりの様だが、3歳から9歳までの教育(就学前あるいは幼児教育)によって、生きる姿勢を学ぶことの重要性を再認識し、教育が過度に進学や就職を目指した、功利的なものに片寄らないようにすべきであろう。
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