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Dry Innovation から Wet Innovation へのポールシフト

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人類(ホモ・サピエンス)は、道具を発明して自らの身体性を延長する事で、原始自然界をコントロールし、影響力を高め、自らの種の繁栄を可能にして来た。

歴史を紐解けば、人類の繁栄には常に制限条件が存在していた。そして制限条件を外す技術思想がその時代のInnovationとなり、Innovationをコントロールする者が世界を制したのである。

 

制限条件の克服は、火の利用、農業、武器などの物を中心としたハードパワーから始まり、思想の統一(宗教・イデオロギー)などソフトパワーまで広く存在した。そして一度確立した技術思想自体が、時には、次の時代に外されるべき制限条件となった。

 

人類の身体性の延長が地球を覆い、限界まで伸びた時、本来は人類を育む懐深い舞台であった原始自然自身が、軋みだした。

作用があれば、反作用がある。

 

作用は圧倒的に強くなり、想定しない反作用を人類は今、経験している。

あらゆる現象は物理化学法則に依存しており、一度起こった反応は元には戻らない。同様にInnovationが進む方向は一方向であり、逆には戻らない。つまり過去のInnovationは新たなInnovationで上書きしない限り消せないのである。

人類はこの事実を認識し、かつ、現代の制限条件を適切に外す為に必要とされるInnovationを、適切に選択する行為自体が、300年後の人類の歴史を決めている事を理解しないといけない。

 

そして、この選択行為の重要性は、人類の身体性の延長が地球を覆った時点で、空間的な飽和を迎えている為、間違った選択肢を選んだ場合の安全域が極めて小さくなっている事を理解しなければならない。

過去半世紀を見た場合、人類の繁栄を支えた最大のInnovationはCPU(Central Processing Unit)の発明であった。脳の延長であるこのInnovationは、脳の表面で起こる電気学的反応を模し、脳の身体性を延長し、更に、世界中の人類の脳を繋げる事に成功した。

 

繋がった人類の脳が作る集合意識は、電気的に加重作用がある為、ボラティリティ1)が激しくなり、感情のダークサイドの増幅ももたらしている。作用と反作用のサイクルが速くなり、時として予測しない方向に集合意識が流れる。
1)数値やデータのばらつき具合、変動率

 

このCPU上のInnovationは、水を必要としない金属的なDry Innovationであった。そのInnovationのスピードは、表面上の商業化Innovationは続くものの、根本を支えて来たムーアの法則(半導体の集積率は18か月で2倍になる)の鈍化により、飽和を迎えつつある。

一方、人類自らを作り上げる細胞の理解が急速に進み、ついに2003年には人類初のゲノムプロジェクトが成功し、細胞の設計図の解読がなされた。さらに、2006年の人類史上初のiPS細胞の発明によって、細胞の時計の針を逆に戻すという事が可能になった。この歴史的な二つの事象が意味するものは、Dry InnovationからWet Innovationへの大きなポールシフト(極の移動)だと考える。

ついに、人類はその身体性を体の外に延ばす時代から、自らの体の中に延ばしたのだ。

これからの50年はWet Innovationを中心としたInnovationが社会を変えるであろう。またInnovationが文化を作った様に、Wet Innovationに合致した新しい思想も生まれるであろう。

 

思想とはアルゴリズムである。その時代の思想が、人々の行動を規定し、国家の動向に影響を与え、社会を動かして行く。

Wet Innovationとは水のInnovationである。進める者の心には静謐に細胞の変化を見極める心掛けが必要である。発酵食物を食べる国民で、連続性の中に中庸を見出す、正に神道的な(あらゆるものの中心に神が存在する)アルゴリズムに親和性が高い。Dry Innovationの0,1,では唯一神的な宗教のアルゴリズムの親和性が高かった事を考えると、この50年のInnovationをどの国家が主導するかというのは実に興味深い観察対象でもある。

ヘリオスは、そのWet Innovationを事業の中心に据え、「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションの下、事業を営んでいる。まずはiPS細胞を初めとする細胞を用いた治療法を3年で3個出す事を経営目標に据えている。このInnovationが、苦しむ患者さんや家族の病状や心労を助ける事になるよう経営を行っている。

 

また、「衰え行く、日本」という国家の中において、次世代の日本を支える産業を成長させる希望を掲げる。

 

医療という領域における特殊な事業であるが、読者の皆様に置かれましては、この様な企業があるという事を、お見知りおき頂けましたら幸いです。

株式会社ヘリオス 代表執行役社長CEO鍵本忠尚
九州大学病院にて眼科医として勤務の後、起業。日本の大学発のバイオ技術BBG250を利用した眼科手術補助剤を開発し、インド・米国での自社第Ⅲ相治験を経て欧州において承認取得・上市を果たしデファクトスタンダードの地位を獲得。加齢黄斑変性の治療という初心の実現に向け、2011年(株)日本網膜研究所(現(株)ヘリオス)設立。2015年東証マザーズ上場。「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションのもと、iPS細胞等の幹細胞技術を用いた新たな治療法の開発を進めている。
九州大学病院にて眼科医として勤務の後、起業。日本の大学発のバイオ技術BBG250を利用した眼科手術補助剤を開発し、インド・米国での自社第Ⅲ相治験を経て欧州において承認取得・上市を果たしデファクトスタンダードの地位を獲得。加齢黄斑変性の治療という初心の実現に向け、2011年(株)日本網膜研究所(現(株)ヘリオス)設立。2015年東証マザーズ上場。「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションのもと、iPS細胞等の幹細胞技術を用いた新たな治療法の開発を進めている。
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