第1回懸賞論文募集

Announcement 結果発表

多数のご応募ありがとうございました。
審査員による厳正な審査の結果、
入賞作品が決定しましたので、発表いたします。

  • 最優秀賞
    1名 賞金50万円
    該当なし
  • 優秀賞
    1名 賞金30万円
    該当なし
  • 佳作
    2名 賞金10万円
    入賞 1名

    岡﨑 広樹さん

    『「ゆるやかな共生」の構築による「成熟社会」の実現』

Judge comment 審査員コメント

国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部 部長 是川 夕
 今回の公募では数多くの意欲的な論考が寄せられた。ただ、論理の運びなど、論文としての完成度については不十分なものも多くみられた。本テーマは他の様々なイシューと比しても、客観的なエビデンスにアクセスすることが難しい。そのためか、応募された論考の多くもメディア等で紹介される議論をそのまま引き写したようなものが多く、議論の前提となる事実を批判的に吟味した上で、独自の論理を展開していたものはまれであった。
今回、最優秀、優秀賞の該当作はなく、佳作を1点のみとしたのはそういった事情によるところが大きい。
 同テーマは今後、日本社会においてより一層、重要なテーマとなっていくことは必至である。今回の企画がそういった議論の一助となることを願っている。
神戸大学 大学院国際協力研究科 地域協力政策専攻 准教授 斉藤 善久
 今回は第一回ということで、次回以降の基準になることを意識しつつ、とりわけ慎重に審査を行った。
受賞論文は公開され多くの人々に読まれるものであるため、少なくとも日本語を母語とすると思われる応募者の論文については、一定程度以上の日本語力の有無も審査対象とした。ただし、難解な専門用語を並べることでむしろ一般の読者に伝わりにくくなっている場合や、論者自身が言葉の意味を十分に理解していないと思われる場合にはマイナスに評価した。 
 論述の構成については、多少の甘さには目をつぶった。他方、論旨の一貫性や具体性、資料の選択の妥当性、視点の独自性などを重視した。また、偏見や差別意識に基づく記述を含むものは早々に除外した。
 総じて、ネット上の情報を要領よくまとめた学生レポートのような内容や、オリジナリティーは有っても論者の既出の論考の焼き直しと思われるようなものは高く評価しない、ということで、本懸賞が今後目指す水準や方向性がある程度見えてきた審査となった。
(公財)橋本財団 ソシエタス総合研究所 主任研究員 井上 登紀子
 今回は佳作が1名という結果だった。多くの論文は「日本は移民を受け入れるべきかどうか」ではなく、「日本は移民をどのように受け入れるべきか」に焦点が当てられていた。全体的に、論文の内容は、既存論文にもある、また、一般的な主題に関する情報をまとめており、新規性や独創性が不足している印象を受けたが、岡崎広樹氏の『「ゆるやかな共生」の構築による「成熟社会」の実現」』は、自身の自治会での活動やその結果についての論考であり、より具体的で経験に基づいたアプローチであったため独創性のある論文だった。テーマに対する深い洞察に基づき、一般論に留まらず、経験や具体的な事例に基づくアプローチ方法の工夫や、独自の視点を強調し、既存論文との違いを明らかに示すことが必要だと感じた。また、ダブルスタンダードのような論考も一部みられた。論理的な展開や一貫性についても注意が必要だと感じた。