

多くの国で、第二次大戦後の30年間は、幸福な社会と呼ばれている。アメリカでは、戦争後の復興で、大きな経済成長が起こり、豊かな消費生活が普及し、「幸福な社会(postwar prosperity)」として語られている。この時期、1950年代から60年代にかけて、所得税の最高税率は70%から90%台と非常に高い水準だった。これにより、富の集中が抑えられ、インフラ整備や教育などの公共事業に資金が投じられた。強力な中産階級の形成がなされ、戦後の好景気と高税率政策により、多くの人々が安定した暮らしを送れるようになった。労働組合の力も強く、企業は従業員を大切にする傾向があったとされる。
同時期に、フランスにおいては「栄光の30年間(Les Trente Glorieuses)」と呼ばれる、1945年から1975年頃までの高度経済成長期が到来した。この時期はアメリカと同様に高税率が導入された高福祉社会として、急速な経済成長と国民生活の向上が両立した。
日本でも第二次大戦後の20〜30年間、特に1950年代半ばから1970年代前半にかけては、戦後の復興から高度経済成長とともに国民生活が大きく向上し、「幸福な時代」と評価される時代だった。所得税の最高税率は、1950年代から1980年代にかけて、他の西欧諸国と同様、所得税の最高税率は60〜70%と、現在よりもかなり高い水準だった。現在は最高税率45%である。これら多くの国で行われたのは、「社会民主主義」政策と呼んでもよい。
しかし、この様な所得の差が少ない「平等社会」は、1970年代になるとスタグフレーション(不況下の物価高)によって行き詰まった。経済は停滞し、労働組合の争議が頻発して社会は混乱に陥った。その時期に、イギリスではサッチャー首相、アメリカではレーガン大統領が「新自由主義」を掲げ、次のような政策を取った。政府の経済介入を最小限に抑える(小さな政府)、市場の自由競争を重視する、個人の自由と自己責任を強調する、公共部門の民営化と規制緩和を推進するなどの政策だ。その結果、貿易の自由化が進行し、グローバリゼーションが広まった。多くの人は豊かになったが、同時に自由競争によって貧富の差が拡大した。
2025年の現在、1970年代から80年代にかけて引き起こされた、自由競争を重視する「新自由主義」的な能力主義、生産性重視などから生じる格差の増大に対して、近年、不平等を補うためと称しての、不完全な支援策が繰り返され、政府の財政赤字は大きくなっている。この傾向は各国に共通するが、日本において最も顕著である。「新自由主義的」生産性重視を前提とする社会で、不完全な「社会民主主義政策」つまり、その場限りの補助金や減税などを追加することによって、日本は身動きが取れない状態と成りつつある。このような状態を「ポピュリズム」と称する。現状は、「新自由主義的」政策を中心として遂行する中、経済成長が乏しい状態で、格差が広がっている状態、つまり、「新自由主義政策」の負の側面が大きくなっている状態で、理念なき「社会民主主義政策」を行っているのである。問題はどこにあるのか? それは「自由競争」をどのように取り扱うかなのである。
技術が発達した世界に対して、技術的な優位を取ろうとする競争は停止することが出来ない。これをまず認める。焦点は、一人ひとりの安定した生活と、競争を前提とした不安定な社会をどのように並立するかにかかっている。今日の世界で競争をやめる事は出来ないとすれば、競争と穏やかな生活との共存が出来るかどうかにかかっている。企業においての競争と個人の生活との分離、個人にとっては、生活と労働の共存が問題だ。
そのためには、個人の生活保障と、企業の競争を促す政策との分離・共存が大切だ。つまり、企業は庇護なしに競争を行うように促し、市場への参加と退出を加速させる必要がある。同時に競争で脱落した個人を救済する仕組みも大切だ。企業の責任と個人の責任は分けて考える必要がある。現在は、企業も個人も救済するという考えだ。これでは、モラルが保てないし、国家財政が持たない。







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