

昨年の衆議院議員総選挙(総選挙)と今年の参議院選挙(参院選)を経て、日本の政治地図に変化が見られるようになりました。この変化は経済と密接に関係しているだけでなく、政府に対する信頼とも深く結び付いています。
昨年10月の総選挙では、自民党が247議席から191議席へと56減、公明党が32議席から24議席へ8減、立憲民主党が98議席から148議席へ50増となりました。今年7月の参院選では、改選議席の結果として、自民党が52議席から39議席へ13減、公明党が14議席から8議席へ6減、立憲民主党は22議席のまま変化なし、国民民主党が9議席から17議席へ8増、参政党が1議席から14議席へ13増となりました。既存の勢力が後退し、新しい提案を掲げる政党が伸びています。
選挙は政党単位で行われ、政党はそれぞれ主義・主張を持っています。主義・主張とは、ある方針を掲げる一方で、別の何かを犠牲にする性格を持ちます。しかし、中には「何も犠牲にせず、無駄を減らすだけで資金を生み出せる」と主張する政党もあります。例えば、2009年に政権を獲得した民主党は、政府の効率化によって16兆円を捻出できると訴えましたが、実際にはほとんど実現できませんでした。このような主張は、いわゆるポピュリスト政党に特徴的です。
古代から中世の国家は、直轄地の収益、通行税や関税、鉱山収入、国有事業などによって財源を確保しており、国民全体への課税は比較的少なく(福祉給付も乏しいが)、結果として1900年頃まではGDPの約10%程度の予算で国を運営していました。しかし近代国家になると、国民への直接課税が本格化し、生活保護や社会保険といった福祉制度も整備され、国家予算はGDPの30〜40%規模へと拡大しました。先進国の負担率(税+社会保険)は、日本で国民所得の約45%、フランスでは約60%に達しています。つまり近代国家は、国民から多額の資金を徴収し、その大部分を再び国民へ給付する仕組みをとっているのです。徴収されたお金が行方不明になるわけではありません。
したがって、政治に求められるのは「効率化」「軍事費削減」「金権腐敗の根絶」といった課題の解決だけではなく、根本的には「多く徴収して多く給付するのか」「少なく徴収して少なく給付するのか」、その違いを国民に理解させられるかどうかです。少ない徴収で多く給付することは原則不可能であり、もし行うなら借金に頼るしかありません。借金は短期的な問題解決や有事に限定されるべきです。幸い、現在の日本は非常事態でも侵略を受けている状況でもありません。
一般に、少ない徴収と少ない給付は右寄り(保守主義・新自由主義)、多い徴収と多い給付は左寄り(社会民主主義)の政策とされます。左右の違いの中心は「分配」ですが、それに付随して、排他主義や伝統主義などの要素も見られます。ただし、あくまで補助的なものにすぎません。
日本の大政党は政権を担う責任があるため、安易に「少ない負担で大きな給付」といった非現実的な政策は打ち出せません。一方、政権獲得を想定していない政党ほど、ポピュリズムに陥りやすい傾向があります。したがって、政党の立ち位置を「徴収と給付の関係」から明確に理解することが重要です(図1参照)。
図1:立ち位置がはっきりしている政党とよくわからない政党とがある







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