

景気が良くなって、税収が増えている。2-3兆円の増収の見込みがある。政治家はすかさず、「減税」を訴える。つまり、給与は上がっているが、それに伴う社会保険料の増加や税の増加によって、手取り収入は思ったほど増えないので、手取り収入を増やすためには減税が必要というわけだ。ケインズによると、不況の場合には、国は借金をしてでも投資や減税を行って、需要を増やすべきだ。しかし、好況になると、速やかに借金を返済しなければならない。言われるまでもなく当然のことだろう。景気が良くなって税収が増えたとき、借金(国債)を返さずに、不況時と同じように借金をしてでも、減税を行うというのはなぜだろう。
(図1)は、過去40年間の国債発行残高を示したものだ。
(図1)
赤字国債を戦後初めて発行したのが1965年である。忘れられてはいるが、本来、法律で赤字国債の発行は「禁止」されているので、毎年赤字国債を発行するために「特例法」を国会で通さなければならない。しかし、1965年以来、国債の発行残高は増加し、「一度たりとも」減少したことがない。つまり、毎年追加して国債を必ず発行しているということだ。そのために、今や1100兆円を超える発行残高となっている。増加の傾斜は次第に急になっている(追加発行する国債の額が増加している)ようだ。
このような状態が良いと思っている人は日本でも少ない。しかし、政治家の大半は追加の「景気対策」を叫んでいる。このような矛盾する政策を堂々と唱える政治家を選んだのは国民だ。政治家のポピュリスト化の責任は国民にある。諸外国でも同様の現象があるが、それは国民がそのような政治家を選んだからであるのは当然だ。これは、マスメディアにも責任がある。マスメディアはポピュリストを選挙で選ぶことについて、国民に責任があるとは言わない(国民は常に正しいと言っている)。国民全般がメディアの購読者なので、顧客に責任があるとは言えないのだろうし、常に国民は被害者であり、政治家あるいは官僚が加害者であるとの立場を取るのだ。
なお、国債の所有者について、外国人の持分割合が11%と低いことによって、ギリシャやアルゼンチンと違うという経済学者がいるが、外国人の持ち分が低いことは有利にはならない。むしろ、早期の警戒信号が発せられないだけ、不安であると言えるし、破綻の最終責任が日本人にあることは考えなければならない(破綻すれば、被害の89%は日本人が受けることになる)。
では、減税を叫ぶ議員からすると、日本国民の税と社会保険の負担率(国民負担率)は過重なのだろうか? 確かに、国民負担率は常に上昇し(図2)、48%に達している(直近はインフレのために45%に下がっている)。
(図2)国民負担率=(税+社会保険)/国民所得の推移
財務省資料
しかし、(図3)のように、先進国同士で比べると、日本より低いのはアメリカだけであり、日本と同等の負担率はイギリスで、その他は日本よりも重い(フランス68%、ドイツ、スウェーデン55%)。問題は、国民負担率が高いということではない。税や社会保険のような負担を、国民がお互いに助け合って融通し合うのか、アメリカのように国に頼らず生きていくのかの違いを明確にすることである。
(図3)国民負担率の比較
財務省資料
(図4)OECD加盟国の国民負担率
財務省資料
さらに、(図4)のように、OECD加盟38ヵ国中でも、日本の国民負担率は「中程度」か「やや低い」あたりである。問題は、負担があっても、皆が平等に、それなりの生活を送る国になるか、それとも、能力のある者がより多くを取る国になるかの問題である。







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